3/18(金) レベルデザインにはまる

 サンフランシスコから帰って、どうも体調がすぐれないと思ったら風邪をひいていた。今週は薬を飲み飲みおとなしく過ごして、なんとか回復したので買い物へ。食料品を買うついでに、ゲーム屋に寄って、GDCでのクリエイター氏の講演に感動した「塊魂」を購入、ちょっと遊んだ。体調の回復祝いに仕込んでいた自家製ビールを試飲。前回と違う味の缶で作ったのだが、何だか色がちょっと濃いだけで味はそんなに変わらない気がした。とはいえ、まあちゃんとビールとして仕上がっていた。


 ゲームデザインコースのグループ課題で、Unrealエンジンを使ってFilm Noir(白黒画面のハードボイルド探偵もの)ゲームを作っている。私はレベルデザイン担当。レベルデザインというのはゲーム開発者以外にはあまりなじみのない言葉だが、簡単に言えばゲームの雰囲気や楽しさを演出するグラフィックや仕掛けを配置をすること。Unrealは3Dシューティングゲームなので、プレイ空間のレイアウトを構成して、オブジェを置いて、壁やら床やらにグラフィックを貼り付けるなどの作業となる。今回は探偵ものなので現場となる薄暗い安ホテルの空間を作って、イベントの仕掛けを埋め込むのが私の仕事である。私のプログラミングスキルは実用レベルでないので、プログラミングは得意な若者に任せ、私はかろうじてスキルが実用に耐えるレベルデザインの仕事を引き受けた。
 ここ二日間ほどで簡単なホテルのフロアレイアウトを作成した。作業自体はそんなに時間を食わないのだが、やりだすといろいろ凝ってしまってきりがなくなる。しばらく作業して、やれやれできたぞと思って試してみたら、縮尺を間違っていてガリバーホテルになっていた。気を取り直してやり直し。まだ窓のはめ方とか、エレベータの動かし方とかを学習中なのでその辺は後に回して、一通りレイアウトができたところで作業終了。
 チクセントミハリのフロー理論で言われているように、モチベーションとスキルがかみ合って、フィードバックがすぐ得られる環境にあると果てしなく作業に没頭できる。このモチベーションの高さはうまく学習に活かさない手はないが、今はたまたま発生する偶然に依存している面が大きい。たとえば学校の総合的学習の時間のような場においては、こういうフロー状態の中で子ども達に学ばせるように仕向ける仕掛けが必要で、指導が成功するかどうかは子ども達のフロー状態を生み出せるかにかかっている。しかしフロー状態というのはいろんな阻害要因があって、ちょっとした邪魔で簡単に中断されてしまう。グループ学習時に実現するには、十全にデザインされた仕掛けと、指導のさじ加減のうまさが必要となる。個人作業の方がまだ実現しやすいので、eラーニング講座の開発で使える考え方だが、残念ながらこれまで私は、フロー状態に至るほど夢中にさせられるeラーニング講座には出会ったことはない。