3/22(月) Serious games summit Day 1

 6時ごろ起床。早起きのようだが、ペンシルバニアだと9時ごろ。昨日やりかけの課題をもう少し進めた。出かけようとエレベータに向うと、ラウンジで朝食サービスをやっている。ホテルの会員は無料なのだそうだ。今回たまたまここのホテルチェーンのサイトが一番安かったので会員になったのだが、思わぬ厚遇。でもカンファレンスで朝飯が出るので今日は果物だけつまんで会場へ向った。会場は早くもGeekであふれかえっていて、秋葉原へ来たような雰囲気。日本人もかなり来ている様子。でもなんか話しかけづらい。ドーナツなどつまみつつ、コーヒーを飲んで開始時間が来るのを待った。
 今回参加したSerious Games サミットというのは、エンターテイメント目的以外のゲーム&シミュレーションの普及を目指す人たちの会合。この分野の主要な研究者が顔をそろえている。ゲーム開発者、研究者、スポンサー、ユーザーそれぞれから出てきている。大学関係者の割合が多い。この分野の一番のスポンサーは米軍で、軍関係のプロジェクトの人たちも結構来ている。大学生とかはあまりいない様子で、この会場だけ平均年齢がずいぶん高い。会場の前半分が円卓席になっていたのでそちらに陣取った。隣に座ったいい面構えの若者と目が合って、挨拶した。彼の名はWilliam。コロンビア大でインストラクショナルテクノロジーを学ぶ大学院生。こちらと似たような立場である。このコミュニティのアクティブメンバーらしく、いろんな人を知っている。彼もビッグネームのそろったこのセッションに期待があふれている様子だ。会話が弾むほど英語ができないのが残念。
 ホストでこのコミュニティ主宰者のBen Sawyerが壇上に立ち、挨拶とSerious Gamesの現状についてのブリーフィング。彼は大学経営シミュレーションVirtual U開発プロジェクトのリーダーで、そのプロジェクトを通していろいろなノウハウを身につけてきたようだ。彼はもともとリーダー気質なのだと思うが、ここまでの成功の積み上げからくる自信と、さらにこのイベントを成功させようという強い意志がにじみ出ていた。
 会場は200人以上入っていて満員御礼。予想以上に盛り上がっている。ゲーム開発者カンファンレンス内で実施したのも功を奏したのだろう。近くにオフィスを構えているというゲーム開発者も何人か見かけた。午前のセッションは医療福祉系の財団、米政府法務省など、Serious Gamesを開発したクライアント側がパネルになってのディスカッション。Serious gamesで何をやろうとしたか、プロジェクトの様子はどうだったか、将来のプロジェクトではパートナーたちに何を求めるかなどの議論が行なわれた。昼食をはさんでの午後いちのセッションは、分科会方式でテーマごとにテーブルを囲んでのグループディスカッション。私は「今後の研究課題検討」グループに参加。インストラクショナルデザイン系、認知科学系、ゲームデザイン系の大学教授たちと、数人のゲーム開発者がいた。心理的影響、身体的影響、学習効果測定などのテーマ出しを行なって、それぞれについて議論した。
 休憩時間中に、日本人が二人、話しかけてきた。一人はゲーム関係のライターの人で、もう一人は東大の院生だった。いずれも興味本位でちょっと顔を出してきたという感じ。それ以外に日本人は見かけなかった。本格的にこの分野で研究しようという人にもっと出てきてもらいたい。ゲーム大国日本がこの分野の盛り上がりを共有できないのは残念だ。
 休憩を挟んで、事例発表。消防士訓練、ロンドンタクシー運転手の語学訓練、恐怖症治療、ホームデザイン啓蒙、軍の作戦遂行訓練、テロ対策、ハワードディーンの選挙運動といった、数々のゲーム&シミュレーションが紹介され、いずれもかなりの成果を挙げている。ゲームが組織の問題解決ツールとして有効であるということが示された。そのあと、マイクロソフトのゲーム部門のGMだった人がAge of Empireやフライトシミュレータなどの数々の成功作の開発に関する話と、マイクロソフトのユーザーテストの特徴など。Age of Empireは私がこの分野に目を向けた最初のきっかけみたいなものだったので、その開発者である彼の話を聴けたのにはかなりしびれた。
 Benのまとめで今日のセッションは終了。盛りだくさんで疲れた。何人かの開発者や研究者の知り合いができた。ホテルに戻ると、またラウンジで今度は夕食サービスをやっている。酒まで出ている。まじでタダなのかと聞くと、この階の客はみんなタダで利用できますよと、気さくなフィリピン人の女性従業員がニコニコと答える。今日はあまり客がいないらしく、好きなだけ部屋に持っていけという。赤ワインとハイネケン、リブにサンドウィッチをいただいた。夕飯はこれで十分だ。ありがたい。まだ引っ張っている授業の課題を進めつつ夕食をとった。ネット接続ができたので、メールを読んだら、課題の出ている授業の講師から、金曜まで延期のオファーが出ている。ありがたい。安心したところで、別のホテルでカンファレンスの参加者が集まっているというのでのぞいてみた。豪華なホテルのラウンジが、Geekの溜まり場になっている。残念ながら、ちょっと時間が遅かったため、Serious gamesの人たちはもうあまり見かけなかった。帰り道にシーフードレストランがあったので、牡蠣を食べに立ち寄った。さすがIT成金の多いシリコンバレー、レストランはやや高め。違った6種類の産地の生牡蠣サンプラーと、白ワインを頼んだ。牡蠣は産地で味が微妙に違う。身の大きさはずいぶん違う。というかそれは個体差もあるか。満足してホテルに戻った。気候がよくて外を歩くのが心地よかった。