今週は朝からアシスタントの仕事のメール処理をやり、落ち着いたところで課題の読書をやるというパターンが続いている。読書という作業は英語の文献なのでどうしてもスピードが遅くなる。ざーっとスキミングして授業に出るというのが続く。1年後輩に韓国人のWonseokというのがいて、木曜のChrisのEmerging Techのクラスを一緒に取っているのだが、彼も今日は宿題のウェブサイト作りに時間をとられて、まったく課題文献にまったく手がつかなかったといっている。彼に、「今日はプレステ2のゲームのデモをやるから、多分文献の議論はなくなるよ」と気休めを言ったら、実際に文献の議論はできなかった。
さて、今日は先日購入したプレステ2のEyeToyをクラスに持参し、デモをした。講師のDr. Chris HoadleyはTechnology Geekなのでノリノリなのだが、クラスメートは平均年齢が高めの、ゲームとは縁のなさそうな大学院生たちなので、みんな自分が試すのは遠慮している。たしかにこのゲームは自分がモニターに写るので、いきなり人前でやるのはやや恥ずかしい。私とChrisとで15分ほど遊んだあと、Chrisが技術解説した。かなり気に入ったらしく、今日に余裕がないことを忘れて、画像認識技術の実用化に関する話をしばらく続けた。彼いわく、「このゲームはぜひ手に入れたいが、PS2を買ってしまうとゲームをやりすぎてテニュアが取れなくなってしまうからやめておく」のだそうだ。
ChrisはComputer Supported Collaborative Learningの分野ではかなり主要な研究者であり、博識で好奇心旺盛なところにはいつも感心させられる。しかも彼は姿勢が常に支援的で、学ぶ側の意欲を引き出すのがうまい。コラボレーティブとはこういうことであると体現しているような人である。みんな居心地がよいと感じるのか、彼のプロジェクトは大人気だ。彼自身はかなり額の大きなグラントプロジェクトを回していて忙しいはずなのだが、そういうところは微塵も見せず、余裕な様子である。
Chrisと同じく、テニュアトラックの教員の中には、テニュア取得のための仕事が忙しすぎて授業がおろそかになる人もいる。一生懸命やっていても、手を抜いていたり、準備が間に合ってないのが透けて見えると受講者のモチベーションも下がる。大学院生たちも自分自身、ぎりぎりのスケジュールでやっているのでその辺りは手厳しい。その一方で、休講が多く、授業の構成も大雑把なのに、Chrisに対しては不満は起きない。今は明確な理由が思いつかないが、一つには、彼が受講者の学びを促すツボをうまくおさえているからだと思う。彼の授業は、これからの私の研究にとって、とても重要な示唆を与えてくれている。こういう学びの場を自分が提供できるようになりたいものだ。