2/16(月) 研究計画

 今日はリサーチデザインのクラス。簡単なトピックを書いて持ち寄って、Dr. Dwyerに個別コメントをもらう。少人数のクラスなので、こういう個別指導的な授業が可能。学ぶことも多いのでとてもよい。ABD(All but Dissertation)の院生もいるのだが、今頃リサーチデザインの授業を取り直しているだけあって、持ってくるものもいまいちぱっとしない。こういう院生の指導は、アドバイザーの教員もモチベーションが出ないだろうなと思う。他のクラスメートたちは、まだ博士課程を始めたばかりの人も多く、今テーマを探し中といった感じ。
 かくいう自分のは「テーマは面白いが、構想がでかすぎ」とのこと。ゲーム&シミュレーションは注目度が高いテーマだが、持っていたネタだと、大勢で手分けしてやらないといけないレベルだし、独立変数を定義するのが大変だぞ、などとあれこれと指導を受けた。いちいちごもっともで、勉強になった。研究の構想がでかくなりがちなのは、はじめから小さな構想ではモチベーションがあがらないのもあるのと、学部時代に受けた教育のせいでもある。
 昔、SFCの学生は身の程を考えずにでかいテーマを追求しようとすると指摘されるのを耳にした。それはたぶんに、SFCでの大局的な視野を身につける教育が成功しつつも、それを具体的なリサーチに落とし込む教育が機能してなかったということの表れだと思う。この点は学生のせいというよりも、教育をデザインした側の製造責任に関わる話だろうと思う。とはいえ、ちまちましたリサーチ作法よりは、大局観をもてる学生を育てることを優先することはむしろよいことだと思う。リサーチ作法なんぞは学部生の大半はそんなものは不要で、必要になれば大学院で学べる。構想がでかすぎる分には絞り込めばいいので問題ないが、リサーチ作法は知っているけど、研究テーマを見つけられないという状況は、はるかに悲惨だ。
 ところで、研究計画を立てるのは自分の得意分野である。自分じゃやりたくないけど、面白そうでしょ?という研究計画ならいくらでも書ける。もっとも、そういうものを書く場合でも、いざ自分がやらないといけなくなった場合のために、自分がやりたくなるようなネタは必ず仕込む。このスキルは今までの社会人経験によって身に付いた。大学を出てからずっと企画系の仕事をやってきたので、企画書、提案書の類は山のように書いてきた。アルバイトで、大学院入試教科書の研究計画書サンプルを書いたこともある。会社勤めのころはボスにガミガミ言われながら徹夜で資料をまとめたりしていたが、今となってはそういうものが糧となって今の自分を支えているのだなとつくづく思う。若い時にがみがみ言って鍛えてくれる上司は貴重だ。しかも自分の場合は、会社の経営者と直で仕事してきたことがさらにプラスになっている。彼らは普通のサラリーマン管理職とはシビアさが違う。ガミガミも本気である。今、大学の教員と仕事をしていて、英語がへたでも彼らの関心を得ることができるのは、経営者たちと仕事をした経験から、上の人間の立場でものを考える力が付いているおかげだろう。
 研究計画の方は、文献レビューを交えつつ、トピックを絞り込む作業を開始。文献読みのスピードが遅いので手間がかかる。