Law school ウェブ調査

日本の大学から依頼を受けて、アメリカのロースクールとMBAスクールの調査をしている。日本では各大学でプロフェッショナルスクール開設の動きがようやく具体化し始めたというところだが、アメリカの大学院で提供されているプログラムの数は膨大なので、とにかく全体像を把握することを優先して、駆け足で各校のサイトをレビューしている。その中で感じたことをいくつか。
・ロースクールの教員プロフィールに載っている教員の顔写真は、美醜に関わらず、みんないい面構えをしている。日本の大学のWebサイトには、何もそんなのを載せんでも、と言いたくなるようなお粗末な写真をたまに見かける(写真がないことのほうが多いが)。人前でものを教えるプロの教員としては、外向けに公開された教員紹介の写真くらいはきちんとしたものを載せるのがマナーだろう。この点はアメリカの大学を見習ってもなんら不都合はない。
・アメリカのトップクラスのロースクールは教員層が厚い。日本でも来年からロースクールがスタートするそうだが、今まで教員を育てる教育機関がなかったのだから、最初の数年は教員不足で苦労するだろう。教育の質もばらばらで、卒業生の質も法曹界からクレームが出たりするだろう。だからといって、質を高めるべく、意図的に校数を絞って、エリート教育化するような対応は望ましくない。日本の専門家教育の最大の課題は層の薄さをどうやって解消するか、ということだ。層が薄い限りは、いかに質を高めようとしてもすぐに頭打ちになる。少数の専門家ががんばったところで、実際には専門家の言うことを理解できる準専門家層が増えないことには、社会へ十分な影響を与えることはできない。その意味では、量が質を凌駕するということを意識して、とにかく初めは法曹教育の裾野を広げることに重点を絞るべきだろう。
・日本の学校でよく見られる、「ごく数人の意欲の高い教員がいるかどうかでオンラインリソースの充実度が変わる」という事実は、アメリカのロースクールでも同様だ。シラバスや授業用のマテリアルを載せている教員は各校に数人いて、彼(女)らの提供しているリソースのおかげで、ロースクールのプログラムでどんな教育をしているのかが理解できる。組織として立派なWebサイトを構築しているところは多いが、組織として、教育内容まで載せるというインセンティブは持ちにくい。それをやるかどうかは教員個人の意欲に依存する。たまたまそういう意欲のある人がWebコンテンツの構築に関わっているところはしっかりしたリソース集などを提供していたりする。アメリカの大学がオンラインで提供している学術情報は膨大なものがあり、言葉の壁を乗り越えられない日本の大学が抱えるハンディの大きさを意識させられる。