中国人留学生のモチベーション

 最近、引越し前に不用品を処分しようと告知をしてせいもあって、いろんな人と電話で話す機会が増えた。その多くはまだアメリカに来てすぐか、2~3年目のアジア系留学生からの問い合わせだ。
 問い合わせの仕方にそれぞれにお国柄というか、買いたいというモチベーションに違いがある。日本人留学生からは問い合わせがあっても買えたら買うよ、という程度の反応でいたってのんびりしている。一方で中国人たちの安いものを手に入れようという意欲はものすごい。人数自体が多いというのもあるのだが、中国人留学生のメーリングリストに告知メールを出して何分もしないうちに問い合わせがひっきりなしに来るし、すぐに引き取りたいと言ってくる。おかげで出品していたものは大体売れた。


 それと引越しの多い時期になると、不要な家具や道具がゴミ捨て場に捨てられるのが目立つようになる。そうすると、中国人たちがどこからともなく現れて、ゴミ箱の中に入ってまでして物色し、リサイクル業者の来る前に使えるものを一通り持っていってしまう。留学生の多くは大学でパートタイムでTAやRAをやっていて食べていけるだけの収入はあるはずなので、そこまで物に執着しなくてもしなくても食べていけると思うのだが、彼らにすれば生きるための手段が習慣化したものなのだろう。
 中国人留学生たちの中にも格差があって、裕福な都会っ子はあまり細かいお金のことを気にせずに物質的に豊かな暮らしをしている。その一方で、苦労して貯金して、有力者にワイロを渡したりあれこれ苦労してようやく留学してきたような留学生たちもいて、そんな人たちは年老いた両親を呼び寄せて子守をさせながら狭いアパートに大勢で住んでいたりする。中国人は留学生ビザが6ヶ月分しか発行されそうなのだが、一部の裕福な家庭の留学生は再発行してもらえるようで、帰省することも可能らしい。それ以外の多くの留学生たちは、再発行自体が困難らしく、一度渡米したら帰ろうとはせず、そのまま働き口を見つけて移住しようとする意欲はものすごく高い。
 いったん物質的な豊かさに慣れた生活をすると、単に安いものを買うのが必ずしもお得ではないということを考える余裕ができる。お値打ち品を探す労力や安物を買って壊れるリスク、最新のものよりも性能が低いことに我慢するコストなどを考えると、必ずしも目先の安さを追うことが得策でないと考えるようになる。実際、捨てられていたソファを持ち帰った人の部屋でダニが大発生して、駆除に数百ドルかかったから注意してくれ、とアパートの管理人から知らせが来た。
 物質的に貧しい中で育つと、安いものを探す作業は基本動作の一部であってコストではなく、使えるものであれば多少の品質の低さは我慢できる。安く買う分ほかのものも買えるじゃないか、という発想で生活しているので、廃棄品を拾うことのリスクよりも物が手に入ることの方が重要なのだろう。彼らは物を安く手に入れて倹約生活を送ることが生存へのモチベーションに直結していて、そのモチベーションがものすごく高い。彼らを間近に見ながら生活していると、生きるモチベーションそのものが違うのではないかという気にさせられる。