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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第81号)

発行日:平成18年9月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 日米のコミュニティ・スクール観−視点の違い

2. 平成18年度 夏学期「豊津寺子屋」 子ども評価

3. 第70回生涯学習フォーラム論文概要

4. 第70回フォーラムレポート『子育てネットワークinふくおか』

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

第70回フォーラムレポート『子育てネットワークinふくおか』

  今回のテーマは「子育てネットワーク」である。報告者は3名;民の側からは、「子育てネットワークinふくおか」の実行委員長黒田可奈子さん、「子育てネットワーク研究会」の世話役相戸晴子さん、官の側からは福岡県立社会教育総合センターの古賀靖紀さんである。本事業のキーワードは複数である。たとえば、「官民協働」、たとえば「子どもの遊びと大人の出会い」、たとえば「地域やテーマを越えたつながり」たとえば「子育てからまちづくりの参画へ」などである。
   「個」の時代の最も重要な要素は「選択」である。「選択」は個々の要求、個々の事情への対応を意味する。選択の時代は欲求の時代を意味する。商店なら品揃え、旅行ならオプショナル・ツアー、食事ならバイキング、というところか?生涯学習もますます個別欲求対応型になりつつある。幼少年の教育であればとんでもないことであるが、大人の学習は「選択の自由」がなければ、人は集まらない。テーマもプログラムも多様にならざるを得ないのである。

◆ 1 ◆ 日常性に近づく

  詳細は当日のプログラムに譲るが、「子育てネットワーク」が「in九州」から「inふくおか」にカバーするエリアを縮小したことで事業のモデルの質が一気に向上した。「質」の向上とは日常性の回復である。最終的に、子育ては毎日のことである。「毎日」の「核心」は「日常」である。若い世代の情報化が進んで、如何にメールやブログの時代とは言え、全九州/年一回のイベントや祭りで子育ての日常を「担保」することはできない。「ふくおか」の大会ですらもまだ大きすぎるであろう。そもそも人間の付き合いがヴァーチャルなコミュニケーションで良いのであれば、「子育てネットワーク」そのものが不要であろう。同質の人間グループが発見できる限り、エリアはできるだけface-to-faceのコミュニケーションが保てる「車社会コミュニティ」に近い方がいいのである。


◆ 2 ◆ 官民協働のwin-win状況

  協働はどちらの側にもメリットをもたらした。当然、「協働」は新しい刺戟を運んでくる。センターも学び、民間実行委員の側も学んだというのは報告者の指摘の通りであろう。官にとってはさまざまな現実情報が流れ込み、民にとっては「御墨付き」と「ハード活用の利便性」を獲得したことになる。なにより「子育てネットワーク」をつくる前に、スタッフ・関係者のネットワークが質量共に向上したはずである。
  「相互参加型の企画立案」が可能となり、関係者の「生きた研修」になったという古賀さんのレポートはお互いに最大のメリットであろう。波及効果はセンターの別事業「ふくおか子育てパーク」のIT活用事業に及んだというのはモデルの「質」のもう一つの側面;「情報源の拡大」と「情報の豊富化」である。


◆ 3 ◆  優れたモデル性

  本事業の意義はその優れたモデル性である。企画の過程も、計画の弾力性も、官民の協力のあり方も、プログラムの組み合わせも、広報の仕方も、手作り(?)のプログラムも、申込み用紙の様式も、ホームページもそのままお手本になる。子育てネットワークを創造しようとすれば、基本的にこのモデルの真似をすればだれでも、どこででも同じような事業を創設することができる。住宅会社が「モデルハウス」を造るように、化粧品の会社が「お試しセット」を配るように、この種の事業はそのモデル性を提起するのが最大の効果であり、最大の責任である。官民協働の実行委員会の成功の意味はそこにある。


◆ 4 ◆  ご案内:『子育てネットワークinふくおか2006』
(ふるってご参加下さい。)

個別テーマは「食」、「睡眠」、「メディア」「遊び」、「孤立の子育て」、「親の自信の回復」など当然、多岐に亘る。以下は当日の案内である。

(1)期日:10/28(土)〜10/29(日)
(2)場所:福岡県立社会教育総合センター
電話:092-947-3511
ホームページ:http//www.fsg.pref.fukuoka.jp/shakyo/
(3)7つの分科会
「おとうさんのネットワーク」から「IT活用」まで
(4)子どもプログラム
5コース「乳幼児託児」から「中学生以上の交流事業」まで
(5)夜は「食堂」で「大交流会」!!!
(6)自治体の関係職員必見
2日目特別講座『子育てネットワークinふくおか』の企画講座−行政は子どもと親をどう支援したらいいのか?−

 

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