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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第39号)

発行日:平成15年3月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 校長と子雀、 「基準論」再考−感想の断片

2. 少年問題の根本−熟年の共感、 司会者は「レフリー」

3. ダイレクト・メソッドの常識−英語の授業は英語で!!

4. 第22回大会総括   「継続」と「力」−「革新」と「伝統」

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

お知らせ

第34回生涯学習フォーラム

日時:4月19日(土)15時〜17時 (フォーラム終了後夕食会)

テーマ:生涯学習時代の図書館

発表者:交渉中

参加論文:「図書館の存在意義」(仮)(三浦清一郎)

 

編集後記

カイザーの森

  わが家に生まれて2か月の子犬が来たことはすでに書いた。子犬はドイツ生まれだというのでカイザーと名付けた事も、中坊さんの「正面の理、側面の情、背面の恐怖」を引用して養育にあたっている事も書いた。早、4か月が過ぎた。基本のしつけは終った。子犬はすでに少年の面持ちをしている。あらゆるものに好奇心を抱いて、跳んで、跳ねて、よじ登って、すべてに全力である。最近は、子犬の権利も認めて毎日のお供の散歩が私の日課になった。近所に、理想的な散歩のコースを見つけて喜んでいる。子ども達がよく遠足に出かけた場所である。迂闊にも、これまでは入り口の近辺にしか入ったことがなかった。県が所有する森で、市が管理する「ふれあいの森」である。(勝手ながら、わが家では「カイザーの森」と名称を変更した!。)毎日行っているのにほとんど人に会うこともない。深閑としている。全部の小道を歩こうとし

たら2〜3時間はかかるであろう。まさに、「皇帝陛下」の森にふさわしい。原稿に疲れた頭にはもってこいの場所である。

   先日、初めて年輩の「森番」らしい人にお会いした。ごあいさつをしたら、深々と頭を下げられて恐縮し、嬉しくなった。よき日本の文化に出会ったような気になる。手入れを為さっているのは、恐らく、「シルバー人材センター」の方々であろうと想像している。針葉樹の森も、桜の森も、紅葉の森も、手入れが行き届いている。どなたの計画かは知らないが、樹木の配置にも感心している。今は、木蓮と辛夷が咲きそろい、薮つばきの赤い花が点々と道を照らして、”こっちに来たら!”と道案内をしてくれているようである。

  かつて、島根県の大畑伸幸地域教育コーディネーターが匹見町にいらっしゃった時、林業が衰退して山が荒れていると言う話になった。町長さんからは、かつての中学生用の寮の使い道はないでしょうかね、とご下問があった。興奮した筆者は、明き部屋になった中学生の寮を活用して、都会の定年者に呼び掛け、匹見町「森林ボランティア」を組織しようと大畑さんに熱弁を振るった。計画論は頭の中で生涯学習のデザインとなった。彼の転勤でこの話はなくなったが、構想は今でも研究者の血を騒がせる。その時、筆者には”整備された森”のイメージははっきりしなかった。カイザーの森のお陰で、今は、はっきりイメージ出来る。

  森の整備にボランティア活動資金を提供すれば、森は蘇り、山の中の町は都会人との交流の舞台となる。ボランティア食券でも発行すれば、まちの食堂はうるおい、料理の腕も上がる。何十人かの都会人が生活すれば、多少のお金も落ちる。そのうち、森のボランティアを慕って、妻(夫)や子ども達も訪ねて来るようになるだろう。宿屋さんもうるおうかも知れない。森の作業によって、地域の熟年の活力も、都会の熟年の活力も維持することが可能になる。一挙四得ではないか!と大畑さんを説いたことを思い出す。生涯学習まちづくりとはそういうプログラムを実行することではないか!どこかに私の計画論を必要とするところはないだろうか?大畑さんには計画が軌道に乗るまでは匹見に滞在するよ、と言ったものだった。カイザーの森での空想である。

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