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風の便り
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「風の便り」(第106号)
発行日:平成20年10月
発行者:「風の便り」編集委員会
1. 「感化論」再考
2. 「感化論」再考(続き)
3. 男社会が目をつぶって来た「傷害罪」
4. 男社会が目をつぶって来た「傷害罪」(続き)
5. MESSAGE TO AND FROM
6. お知らせ&編集後記
3 テレビはDVを語らない―男社会のメディア 被害者が、女性人口の5人に1人という数字は巨大な数字です。しかし、被害が男性に及ばない限り,筋肉文化は無視することが出来るのです。 しかも、上記の証言集のように時代は被害の事実と実態を明らかにしつつあるのに、テレビ界も、新聞も、ラジオもあまりにも反応が鈍いのではないでしょうか?もとより筆者も正確に報道の実態や頻度を調べたわけではありません。しかし、「汚染米」の問題から痴漢騒ぎまで、日々、大々的にそれらの被害が報道され,警告されるのに比べて、少なくともテレビに代表されるメディアは、DV被害の「非人間性」に目をつぶっているのではないでしょうか?ゴールデンアワーの番組に、せめて「汚染米」の不正販売と同じレベルで、日常的に取り上げられたことがないのは重視していないという証拠です。警察と同じく、報道においても「民事不介入」の「大義」の下に男の傷害罪を無視し続けていることはまちがいありません。 女性がDVの証言集を発行するようになった今日でも、テレビにおけるDVに対する警告や非難はめったに耳にしません。時事問題でも,ニュース解説でも、トークショー番組でもめったに取り上げることはないのでしょう。マスコミ研究の定説どおり、ニュースにならないものは事件ではないのです。メディアが取り上げないものは「事件」にならないばかりか、社会的に「重要」事項にはならないのです。 テレビ番組のプロデューサーもディレクターも編集長も、いまだ、大体は男が圧倒的な優勢をたもっているということなのでしょう。今でも、筋肉文化におけるDVの黙殺は、言葉の支配権が男性の手にあるということであり、政治権力はもとより、報道権力の中枢に、いまだ、女は座っていないということを意味しているのです。テレビがせめて飲酒運転撲滅と同じ比率でDVを語れば、状況は必ず変わります。「言葉を変えれば社会が変わり、差別を弱めることができ」、「社会の仕組みを変えれば、言葉も、その言葉の意味も変わる」のです。それが「言葉と社会の弁証法的関係」です。(デール・スペンダー*3) (*3) デール・スペンダー「言葉は男が支配する 言語と性差」、レイノルズ・秋葉かつえ訳、勁草書房、1987 4 「犯罪」と言いながら法律に「処罰」の規定がない! DV法には被害者を守ろうとする配慮はあっても、加害者を処罰する思想はほとんど存在しません。証言集には「家庭裁判所の調停員の方々の意識が遅れていて」不勉強であるという指摘がありました。DV被害は、「自分一人で解決できる範囲の悩み事ではない」とあり、被害女性を「守れるところ、相談できるところを作って下さい」ともありました。法律について「6ヶ月近づかないようにするだけで女性を救えるのでしょうか?・・(家庭内暴力が犯罪であるというのなら)、(加害者には)「相当の処罰を受けることを身をもって教えなくてはいけないと思います」とありました。「加害者を取り締まる法律がない」ということはおかしいという指摘につながるでしょう。だから「法を過信しないで」と言う被害者から同性被害者への忠告もありました。それにしても、このような事態を前にして、国や地方の女性議員はどんな仕事をしているのかと、疑問に思うのは筆者だけでしょうか? 以下は現行支援システムの状況です。 名称は地方によって異なりますが、都道府県に、次のような相談窓口ができています。 「配偶者暴力相談支援センター」、「女性センター」、 「警察の相談窓口:ミズ・リリーフ・ライン」、 「財団法人法律扶助協会」などが存在します。
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