テレビを見ていたら、「Party like a popstar」というフレーズを聞いた。直訳すれば「ポップスターのようにパーティする」で、意味としては「羽振りよく乱痴気騒ぎをする」とかそういう意味になる。でも、普通はそれを言うなら「Party like a rockstar」じゃないのかな?と思ってちょっと調べてみると、フレーズとしてはやはり「Party like a rockstar」の方が一般的らしい。
まあどちらでも似たような意味で酒とドラッグとセックスがつきものの馬鹿騒ぎなのだけど、言葉のかもし出すイメージとしてはロックスターの方がよりクレイジーな感じで、ポップスターの方はブリトニー・スピアーズとかパリス・ヒルトンとか、日本で言うと自称セレブタレントみたいなのが出てきて踊ってそうで、クレイジーな感じは同じでもややヘナチョコな感じ。
この「~のようにパーティする」という表現に特定の集団を当てはめてみると、その集団がどのようなイメージで見られているかが浮き彫りになる。「Party like undergrads(大学生のようにパーティする)」だと、若者たちがそこらで奇声を発したり、一気飲みしたり、(最近はどうだか知らないけど)だいたい日本の大学生のコンパのイメージと似たような感じになる。「Party like graduate students(大学院生のようにパーティする)」だと、語り中心でもう少し静かなイメージで、なんだか微妙に盛り上がってるんだか盛り下がってるんだかわからない感じ。あるいは、家族連れの人たちもいたりしてのどかな感じかもしれない。
国籍別にしてみると、国民性が出てくる。「アメリカ人のようにパーティする」だと、なんか会話が弾んで明るい感じだろうか。「ブラジル人のようにパーティする」だとサンバとか踊ってたりしてうるさそう。「ロシア人のようにパーティする」だとウォッカとかガンガン飲みながら変な人がコサックダンス踊ってそう。「イギリス人のようにパーティする」だと、フーリガンのような人たちがビール飲んで騒いでそうな一方で、品のよい人々がお茶飲んでいるイメージも浮かんでくる。
「日本人のようにパーティする」だとどうだろう。よその人から見れば、壁の花になっておとなしい人が多いとか、やたらお辞儀していたりとか、そんな感じだろうか。でも同じ日本人でも「関西人のようにパーティする」だとにぎやかそうだし、「九州人のようにパーティする」だと、寡黙な男どもが焼酎カパカパ飲んでそうで、東北人だと酒が日本酒に代わってもっと朴訥としたイメージだろうか。江戸っ子だと何かかもし出すイメージがあるのに、東京人だとあまりピンと来ない。
大学でも使える。たとえば、「東大生のようにパーティする」と「早大生のようにパーティする」では、ほとんどの人はずいぶんイメージが違うように感じるだろう。こうなると合コンの方がしっくりくるだろうか。同じく職業を当てはめてみると、それぞれにイメージが違ってくる。「スッチーと合コン」、「ナースと合コン」、、、もういいか。
こういうステレオタイプなイメージというのはいい加減なもので、クリーンで馬鹿騒ぎしないロックスターはもちろんいるし、人付き合いの苦手なアメリカ人も物静かなブラジル人も普通にいる。その集団の特徴をぜんぜん言い当てていないことがよくあるし、大事な事を考えている時に安易に頼ると判断を誤るし、下手をすると差別や偏見につながる。ステレオタイプで思考を止めてしまうと、物事を掘り下げて考えなくなる。それでも血液型や星座、出身校、出身地、国籍など、あるカテゴリーに特徴を当てはめて物事を見たり、人を判断したりするのがみんな大好きだ。コミュニケーションのネタとして適当に使うのはよいとしても、人を判断する材料としては使わないことだ。