1月から新たなTVドラマシリーズとして「Terminator: The Sarah Connor Chronicles(FOX)」が始まった。映画版の2と3の間で、サラ・コナーがまだ生きている頃のストーリーが描かれている。カリフォルニア州知事に出世したシュワルツェネッガーは出てこず、他の俳優たちも総入れ替え。このシリーズにジョン・コナーを守りに送り込まれたターミネーターは少女型で、シュワルツェネッガー型よりもバージョンアップしているという設定。
例年同じ枠でやっていた人気ドラマ「24」が、脚本家協会のストや主演のサザーランドの逮捕などの影響で放送延期になっているが、このドラマがちょうど埋め合わせている格好になっている。24は行き着く暇もなくシリアスな展開がずっと続くが、こちらは24と比べれば、その点が若干スローダウンしている。また、映画版本作は爆破やカーチェイスなどのアクションに頼るところが多かったが、テレビ版はストーリー展開重視でアクションは抑え目になっている。ターミネーターと人間のコミュニケーションギャップにまつわるコミカルなシーンは健在で、笑えるやり取りはむしろ映画版よりも増えている。
この手のオリジナル作品からのスピンオフやリメイクは、ヒット作の果実を最収穫するためによくとられる手法だが、ストーリーや設定がきちんと練りこまれていないと単なる便乗や「原作レイプだ」と批判されるような作品となってしまう。本作品についてはその点ストーリーがよく練りこまれていて、うまくオリジナルの設定やテイストを活かしながら新たなオリジナル作品を生んでいると言ってよい仕上がりになっている。
人気のあるオリジナルにしてもよいところと悪いところがあるし、時代が過ぎて技術が進化すれば、以前よりも表現の幅が広がっていることもある。よいところをうまく活かしながらいかに新たな要素を組み込んで行くかというところをよく考えないと、単なる焼き直しに終わってしまう。オリジナルの解釈が甘いままに余計な手を加えると、ファンからは余計なことしてくれるなと非難の声が上がる。スピンオフやリメイクは、オリジナルの威を借りることができる分、別の難しさが増すというところだ。
この「Terminator: The Sarah Connor Chronicles」に関しては、その辺りがうまく消化されている印象だ。映画版を見ている人は、ストーリーや演出面でオリジナルのよさがどう消化されて反映されているかを演拾いながらみるのも面白い。続編だからとたかをくくらずに見てほしいオススメの作品だ。