先日シリアスゲームジャパンでも紹介した、AOGCプレイベントのセカンドライフ内でのバーチャル講演会の件について、こちらでは個人的な所感を。
日本時間の2月2日金曜午後1時から開始されて、東部時間のこちらは2月1日の午後11時、深夜の参加となった。講演会とはいえ、アバターだけで本人の顔出しはないので、本人はだらしない家着姿。アバターはこの講演のためにセカンドライフ内のメンズウェア店で買ってきた青シャツにネクタイ姿に着替えて参加。スーツを買おうと思って、カジノでお金を増やそうとがんばったがだめだった。
会場は、リアル、バーチャルともデジタルハリウッドさんにご提供いただいての開催となった。バーチャル会場は多目的広場のようになっているところに結構立派なものが特設ステージが設営されていた。
会では、駒澤大学の山口先生の講演の合間にゲストとして10分くらいでシリアスゲームとシリアスゲームの観点から見たオンラインゲームの話をした。聴衆はリアル会場の方にプレス関係者が10数人にいて、バーチャル会場の方も10人くらい。こちらはアメリカからの完全バーチャル参加なので、リアル会場の様子はさっぱりわからない。バーチャル会場もアバターなので聞いているのかどうなのか反応はわからない。話している感じとしては、ラジオ講座や電話会議をしているのと似た感覚だと思う。自分のペースで話せるようになるには少し慣れが必要になる。今回は慣れてないので話しづらさの方が上回った。
せっかくバーチャルな世界でプレゼンをするのだから、なにかセカンドライフだからできることをやれないかと思って、とりあえず宙に浮いて高い位置にあるスクリーンの横で話をしてみた。そうしてみたのはよかったが、スライドを見える視点にしながらアバターに前を向かせる方法がわからず、聴衆にはずっとオシリを向けたまま話すことになってしまった。リアルでもバーチャルでも、慣れない環境ではいちいち勝手のわからないことが起きるのは変わらない。
バーチャル会場では机と椅子が並んでいたが、座るとスクリーンが見やすいわけではないので、もっとみやすい位置を求めて宙に浮いて話を聞いている人が多かった。講演会場は、リアル世界をモデルに作られていたが、必ずしもそうする必要はないのかもしれない。空を飛べることを活かした講演会場やイベント会場の座席配置をデザインするのは面白そうだ。その意味では、セカンドライフ内の施設の多くは、リアル世界の模倣でしかないので、セカンドライフの特性を活かしたリアルのモデルにとらわれない施設デザインと言うのが今後重要なテーマになってくるだろう。
講演中のやり取りにしても、まだ実施する側も話す側も不慣れで未開拓な要素は多い。講演者としては、質疑応答の時に音声とテキストチャットと二つのチャネルがあるため、リアルの質疑応答とはやり取りの仕方が変わってくる。不慣れなために、チャットの方に気をとられて音声での質問をうまく聞き取れず、ずれた回答をしてしまうことも生じた。この辺りはこのようなイベントを何度かこなす中で型が見えてくると思う。
現時点では、セカンドライフならではの使い方はまだ出てきていない。だからといって、一度や二度試しただけで、あまりよさが見えてこないと考えるのは早計だろう。いかなるツールも少し使い込んでみないと判断できない。セカンドライフは使い込んでみるに値する多様な機能とポテンシャルを持っていると思う。今回のようなリアルとバーチャルの連動イベントのような試みを重ねて行けば、また面白い用途も思いつくだろうし、そこからあらたなデザインのアイデアも浮かんでくるだろう。
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★補足:なお、先日毎日新聞のフリーペーパー「まんたんブロード」に掲載された記事が「まんたんウェブ」に掲載されたのでご覧ください。
特集:脳トレ・DSビッグバン 「DSの成功は世界に驚き」シリアスゲーム研究者に聞く(毎日新聞まんたんウェブ)
http://mantanweb.mainichi.co.jp/web/2007/02/dsds.html