Jasag初日の個人的な出来事

 日本シミュレーション&ゲーミング学会に参加してきた。出番は朝一のシンポジウム。会場にコーエーのファウンダーご夫妻がいて、開始直前にご挨拶した。あのシブサワ・コウ氏である。握手してもらうんだった。後で話すチャンスがなかったのがとても残念。
 先日レーザーポインタ付のペンを入手したので、それをプレゼン中に使おうと思って胸ポケットから取り出したら、なんと同じ色の普通のボールペンと間違えて持ってきていて、発表しながら愕然とした。当然普通のペンからはレーザーは出ず、モデレータの細井先生が様子を察してレーザーポインタを貸してくれたので、ポインタ自体は使えたのだが、自分の間抜けさ加減にかなり萎えた。
 今日はあいにくの雨模様で全体的に時間が押し気味だったこともあって、時間を気にしつつだったのと、帰国翌日の出番だといつものことで発表用の言葉が出にくく、全体的にしゃべりがすべり気味。帰国後すぐの発表はいつもこんな感じなので、ここは少し何とかしないといけない。
 話のネタ的に、今回は新しいものを3分の一ほど追加したのだが、その部分が今ひとつなじんでなかった。スライドにビデオのキューを入れ忘れて、タイミングを通り過ぎてしまってビデオも流し損ねた。
 そんなこんなで、あたふたとしながら出番は無事終了(本日の発表資料はこちら)。会場の反応としては、これまでにやったセッションの中では最も面白くなさそうな人やむかついている人が多かったという印象を受けた。物議を醸せること自体は悪いことではないが、もうちょっとアレンジの工夫が必要だなと反省した。開発者向けや一般向けにはそのままでOKだとしても、研究者向けの仕様になっていなかったというのをやった後に気づいた。私の発表の後、立命館大の稲葉先生の事例発表があって、その後ディスカッションに移ったのだが、もうほとんど時間は残っておらず、たくさん言いたいことがある人がたくさんいるのに、会場との質疑応答の時間は取れずに終了。全体的にやや消化不良な感があったのは残念だったが、個人的にはいろんな意味でよい経験ができた。
 今日はシブサワ・コウ氏に会えたことに加えて、よかったことが2つあった。一つは、一緒にプロジェクトをしている立命館の中村先生のグループと打ち合わせする時間が持てたこと。オンラインでは連絡が取れても、やはり顔を合わせて話せると意思疎通の度合いが違うし、その機会が持てたおかげでやりやすくなった。
 もう一つは、同門の先輩である産能の長岡先生と慶應の加藤先生にものすごく久しぶりにお会いできたこと。私から見て、二人とも伯父弟子とでもいうような存在で、いずれもとんがった研究者である。シンポジウムのディスカッションの時間に、私は場を気遣った当たり障りのない発言をしたのだが、その当たり障りのなさをこの二人にはすっかり見抜かれていた。それじゃあダメだろうと叱られた。「学習」についての理解も、この二人にはまだ私は遠く及ばないことがよくわかったし、言われて気づいたことがたくさんあったので、今日一番の学びの機会となったと言ってもよい。
 他にも、シンポジウムで稲葉先生のカリフォルニアでのゲーム利用事例から大いに得るところがあったし、午後のシミュレーション体験セッションで、リアルのシミュレーションに触れたことからもインスパイアされることがあった。シリアスゲームの中で蓄積されてないノウハウがこの学会を中心に積みあがっていて、うまく交流を進めていくことで得られることが多いことがよくわかった。セッションを運営していた若い学部生たちがよく働いていたことにも大いに感銘を受けた。
 こういう場でシリアスゲームについて話すたびに、「シリアスゲームとわざわざ言う必要はあるのか」、「そんなことは昔からとっくにやっている」という意見を耳にする。そういう意味では、シリアスゲームとわざわざ言う必要はないし、昔からやっているのはこちらも承知している。ただ、その中でシリアスゲームがこれだけ注目されていることには意味があるのであって、大事なのはその意味をどう捉えて、どう対応するかである。使えるものはうまく使えばよいし、問題のあるところはきちんと議論していけばよい話である。個別に話が出来た人たちはその辺りの認識は共有していたのでよかったが、それを共有できてない人たちもたぶん結構いるだろう。これからもいろいろと気を遣いそうな局面が多そうである。

Jasag初日の個人的な出来事」への2件のフィードバック

  1. お疲れ様でございました。
    会場が用意したレーザーポインタが故障したのかと思っていましたが、実はそんな裏話があったのですね(笑)

  2. > 実はそんな裏話があったのですね(笑)
    その時は自分で一瞬何が起こったのか理解できなくて、
    状況を把握するのに数秒かかりました。(笑)
    ステージの上ではいろんな予期せぬことが起こるものです。

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