数時間前にステートカレッジの自宅に無事帰宅しました。今回の日本ツアーも、いろいろな形で多くの方々にお世話になりました。どうもありがとうございました。今回初めてお会いした皆さま、これからもよろしくお願いします。
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出発の朝、朝いちで荷物をごろごろ転がして、東大の中原さんを訪問。最近のプロジェクトの話や日本の大学周りの状況などを伺った。自分と同世代で近い目線で仕事をしている日本の研究者をあまり知らず、話ができる機会などほとんどないので、中原さんと話をすると、どこから切っても参考になることばかりで、興味は尽きない。
その後、auのショップに足を運んで、ケータイの契約を一時休止手続きをしたあと空港へ。チェックインは長蛇の列でどうしようかと思ったが、安いノースウェストばかり使っているおかげでメンバーランクが上がっていて、空いている方の列でさっさと手続きできた。しかし今回ショックだったのは、ノースウェスト航空はエコノミークラスの酒類が無料ではなく、一本5ドルになっていたことだ。なので時差調整に酒を飲んでさっさと寝るという手法が使いにくくなった。それに液体類の持ち込みもできないため、仕方なく事前に飲めるだけ飲んで飛行機に乗り込んだ。
飛ぶ前からさっさと寝て、飯で起こされた後は、テレビを見ながら英語に耳を慣らしつつ、ブログ書いたり、書き物をしたりして暇をつぶした。飛行機の中は退屈で不自由なのだが、逆にそのおかげでゆっくりと何にも邪魔されずに考える時間がある。今回のツアーを振り返り、明日以降に待ち受けている山のような(楽しい)仕事の段取りを考えながら過ごした。
今回、約3週間の日本滞在、うち六日間の盆のオフ日を除き、二週間足らずでかなりの仕事をこなした。講演2回、勉強会やビジネスミーティングの類も10回以上を数えた。そうした現場でのやり取りを通して、いろんなことがかなり鍛えられた。スキルはブラッシュアップされ、整理仕切れてなかった知識もかなり整理できた。
私には、エライ先生のように得意技もなく、気を抜く余裕もないので、会議の場はいつも全力で臨むことになる。毎回、頭をフル回転させて参加していれば、その場で思いつくこともあるし、やり取りの中で、それまで考えていなかった切り口から考えさせられることもある。教え、アドバイスする立場で招かれていても、こちらの方が学んでいることが多いし、その場で知識が生産されている面も大いにある。打席に立って実戦経験を重ねることが重要で、しかもしっかりモチベーションを高めて打席に立つかどうかで伸び方はまるで変わるのだなということがよくわかった。
帰途に着いて、あと少しでうちに帰り着くと考えると、ホッとする。自分の感覚の中で、「日本に帰って、アメリカに行く」というよりも「日本に行って、アメリカに帰る」という感じが年々強くなっている。4年も住んでいればそんなものだろう。
帰ると休む暇はあまりなく、大きなプロジェクトが待っている。まず博士論文。9月中には三章まで書いて、プロポーザルにOKをもらわないといけない。そして今年中にデータ収集を終える必要がある。次に出版。書き下ろし一冊と翻訳書二冊の出版が決まった。来年早々に一冊出すためには、冬に入る前に一冊仕上げないといけない。その他にもカンファレンスでの発表や生活費確保のための仕事など、尋常でないボリュームの仕事が待っている。インターンの仕事を辞めたことで安定収入はなくなり、以前にも増して貧しく不安定な日々がしばらく続く。
「視界に陸が見えない長い長い時間を経る覚悟無しには、新しい大陸を見つけることなどできない」などと強がってみても、リスクに身をさらすのは、それだけでストレスが大きい。楽しい仲間や同志がいて、仕事の楽しさや将来のビジョンがあるおかげで、どうにかやっていけるというものである。
今回はいろんな意味で、ずいぶんパワーアップできた。ツアー前とは、自分の力も、自分を取り巻く状況も大きく変わっており、一年後にはどんなことになっているか、さらに楽しみな状況になってきている。