当サイトで運営している生涯学習通信「風の便り 」の編集長、三浦清一郎編著の新刊「市民の参画と地域活力の創造: 生涯学習立国論」が学文社より上梓された。3月に上梓された「子育て支援の方法と少年教育の原点」に続いての作品である。
本書は、三浦氏が代表世話人と毎年行なわれている、中国・四国・九州地区生涯学習実践研究交流会の25周年を記念して出版されたもので、これまでの三浦氏の論文や、紹介された事例をテーマごとにまとめた形で構成されている。
三浦氏は、中四国九州地方の生涯学習分野ではカリスマ研究者とでも形容できるような人気講師である。生涯学習機関、PTA、学校、非営利グループなどに招かれて講演して回って、地域の教育行政変革の主導者として活躍している。毎月配信されている生涯学習通信と、生涯学習フォーラムの論文で、教育行政に対する容赦のない辛口な、ブレのない筋の通った論理が評判となって広がった。論じたことを自治体へのコンサルティングなどを通して実践し、その評価を通してさらに新たな論を展開するというオンゴーイングな生涯学習変革の過程が綴られてきた中から、本書はそのエッセンスを凝縮した、地方から全国に向けた提言となっている。
生涯学習行政関係者や、生涯学習分野に関心がある人向けのやや固めの本だが、教育分野における事業の立て方、実践の仕方、という点では、広く教育問題、高齢化問題、少年教育に関心のある人には得られるところの多い本だと思う。
生涯学習の専門家を眺めていて興味深いのは、企業内教育や公務員研修のにほとんど絶対に触れないことです。そういうことが語彙にないんでしょうかね。我々企業内教育や公務員研修の担当者は、文部科学省が公務員研修も職業能率開発も引き取ったらどうだ、などという議論をすることがあるのですが。少なくとも教育学の基盤は共通だと思っています。
>君島浩さん
それは縦割り行政の棲み分けの影響が大きいと思います。
生涯学習分野は行政の制度によって規定されている面が大きいので、特にその面が強いのではないでしょうか。
>そういうことが語彙にないんでしょうかね。
よくご存じないことをこういう風に言い放つのはどうかと思いますよ。
>我々企業内教育や公務員研修の担当者は、文部科学省が公務員研修も
>職業能率開発も引き取ったらどうだ、などという議論をすることがあるのですが
生涯学習の人たちもそういう話も「雑談レベル」では議論しているんじゃないでしょうか。
私も企業内教育や公務員研修の担当者の方が、雑談レベル以上の具体性を持った形で真面目に進めようと議論されているのを聞いたことがありません。
>少なくとも教育学の基盤は共通だと思っています。
基盤は共通だと思いますが、これはある面「野球もサッカーも陸上もみんなスポーツで、基盤は共通」という話に近いと思います。
お互いの知識基盤は広くは共通でも、それぞれの分野で抱える課題や問題意識は異なりますし、政治的文化的なしがらみの性質も違ってきます。
教育学の専門家が個別問題の改善にも教育システム全体の改善にもさほど貢献できてこなかった理由はそういうところを軽視してきたことにあると思います。
仮説や断定には「~かね」などの語句を付けています。学校・公民館・図書館は公共施設なのでだれでもなじみがあるというのと、会社や役所の中にはめったに入れないということとの違いが影響しているかも知れません。IDによるニーズ分析とか学習目標などは、もっと相互交流ができると思っています。また、産官側は大人を教えているのことから、それに甘えて学習者の理論や方略を軽視してきたように思います。