少し前に、Avenged SevenfoldというメタルバンドのCDを買って、かなり聞き込んでいる。昨年の秋頃からFMラジオのロックステーションでヘビーローテーションになっていたのを聴いて、ボーカルの感じはラウドロック風だけど、ギターはすごいメロディックメタルでかっこよかったので、探してCDを買ってみた。ネット調べてみると、アメリカでセールス好調で、日本でも輸入版が結構話題になっている様子。
音的には、パンテラをラウドロック風にして、北欧デスメタルをブレンドしたような雰囲気といったら、たぶん当たらずとも遠からずだと思う。今のアメリカでこの手の音楽が出てくるのは意外な感じもするけど、幼い頃からメガデスやらスレイヤーやらを聴いて育って、今のアメリカの音楽的風土の影響を受けたらこんな感じになるのかなと、納得がいく面もある。ツインギターのハモリ加減はヨーロピアンな感じだけど、ベイエリアスラッシュの本場カリフォルニア出身なだけに、アップテンポさやリフのザクザク感はその辺の流れを受けている感じ。演奏力はかなり高い。
自分たちの好きな音楽をうまく消化して、アメリカのマーケット向けに出してる感じなのだが、その意図しているところはウェブサイトやプロモーションビデオに現れている。羽の生えたドクロがトレードマークで、ビデオには大蛇やコウモリやセクシー下着のおねーちゃんたちがたくさん出てくる。1990年前後のメタル全盛時代にはみんなカッコいいと思ってやってたけど、今はちょっとダサいですか?というベタなことをマジメにやっていて笑える。この辺の方向性は日本だと氣志團の売り方と近いかも。
ところでこのバンドのボーカル、前はデス声(超ダミ声)だったらしいのだけど、のどを痛めて手術して、医者からデス声禁止令を出されたそうだ。デス声はいかにものどに悪そうだが、やはり悪いらしい。そのためこのアルバムから普通の声で歌うようになったとか。でも、普通に歌うようになったおかげでファン層を広げてブレイクした面が大きい気がする。デスメタル、特に北欧系デスメタルは演奏力はむちゃくちゃ高いし、曲はメロディックでとてもかっこいい。しかしデス声がものすごく好き嫌いを分けて、聞き手を選別する。デスメタルのデス声がダメという人は多くて、僕も相当メタルを聴く方だと思うが、デス声はどうも好きになれない。なのでデスメタルバンドのCDは2枚しか持ってない。デス声には個性はないし、普通に歌えばもっと売れるのにといつも思うのだが、デスメタルな人々の芸術観においてはデス声が不可欠なようで、頑なにデス声で歌い続ける。そういう頑固なこだわりは嫌いではない。でも喉は大事にした方がいいですな。
メタルファンにとっては間違いなくおすすめで、今年のベストアルバムを期待して買っていいし、普通のロックファンでも、Rizeあたりのヘビーなノリが好きな人だったら(HipHopさが抜けてOKであれば)聴いてみて損はないです。