今日は何をさておき自分のプレゼンである。公的な場での初の英語プレゼンなので、事前準備はこれまでになく力を入れた。会場はフロアをパーテーションで区切った簡易ルームで、最大50人収容といったところ。通路の音が筒抜けなのと、窓からの明かりでスクリーンが見えにくくなっているのとで、あまりコンディションはよくなかったが大きな支障はなかった。
参加者はちょうど座席が一杯になるくらいで、30数人といったところか。日本人が2~3割いて、あとは外国人。私が今回伝えたかったことは、すでに日本のユーザーも開発者も、潜在的にはシリアスゲームに相当するものを利用し、提供している、ということ。実際、今回の発表のためにいろいろ調べたら、思った以上にシリアスゲームと関係する事例が出てきた。それらをシリアスゲームという概念でつないでいけば、個々の事例が力を増す。日本でのシリアスゲームの展開は、ゼロからの展開ではないということを今回の発表で日本国内外に示せればと考えた。
今回は、IGDAの新さんと東大の馬場先生に一緒にご登場いただいて、彼らの展開する東大ゲーム研究プロジェクトの活動を海外にご紹介いただいた。シリアスゲームを含め、今の日本のゲーム研究を牽引するリーダーはこの二人である。今後のことを考えても、私よりも彼らの活動こそが注目されるべきものである。今回は多少なりともその機会を作ることができたのは大きな成果だった。
発表の後、参加者からの挨拶攻めにあい、あちこちの研究者や開発者と名刺交換した。フランスやロシアのゲーム会社の人まで、今後ともどうぞよろしくとやってきた。主催者のベンも私たちに期待していた内容であったとコメントをくれた。今回のセッションがうまくいったことで、今の段階でできることは一通りやった印象である。あとは実際に研究成果を積み上げ、プロジェクトを成功させて、その中身を世に示していく段階である。
二日目はそのあともいろいろあって書ききれないくらいなのだが、Jim Geeの「Jimと一緒にゲームで遊ぼう」セッションは期待していた通りのいいセッションだった。これを私も教育工学者としての視点を加えて日本でぜひやりたい。デザイナー4名によるゲームデザインデモンストレーションのセッションもなかなかよかった。友人のBillも出ていて、いまいち自分の成果に納得がいかずに残念そうな様子だったが、みんなそれぞれにデザイナーの個性が出ていて楽しかった。
この日の夜は、日本人参加者が中心のレセプションに参加。ものすごい人数で大混雑していた。外国人参加者との交流が趣旨の集まりだったが、外国人はさほど多くなく、若い人も多かったのでそんなに交流が行なわれている感じではなかった。この点についてはちょっと仕掛け不足といった印象だったが、日本人同士の交流は盛んに行なわれていたので、会全体としてはうまくいっていたようである。この会の後、ナムコの岩谷徹さんのホテルの部屋に移動しての二次会。岩谷さんにご挨拶した際にシリアスゲームの話になって、シリアスゲームという言葉はともかくとして、「社会のためのゲーム」であるという認識で一致した。岩谷さんは気さくな人柄で、ゲームのシンプルなよさを大事にする姿勢を持ち続ける、日本のゲーム開発者の良心を体現したような方だという印象を持った。
この日は12時ごろ終了。発表も無事に終わって気も緩み、疲れてホテルに戻って即爆睡であった。