Instructional Designerの専門性

 先月、AECTカンファレンスに参加した収穫の一つは、経験豊かなインストラクショナルデザイナーと話しができたことだ。カンファレンスのプログラムにもレセプションがいくつか組まれていて、交流する機会は結構あるのだが、立食パーティではなかなか込み入った話もできない。今回よかったのは、たまたま大学の同僚と、彼の昔の相棒のIDerとで夕飯を食べる機会があったことだ。ちょうどワールドシリーズの時期だったので、ヤンキースの松井の話や日本のプロ野球界の話など他愛のない話をしたりしつつ、仕事の話をいくつか聞いた。
 印象に残ったのは、インストラクショナルデザイナーは、「どれくらいコンテンツのことを学習するのか」という質問に対して、彼の答えは「想定される学習者が理解する必要のあることは一通り学習するが、それ以上は立ち入らない。ただし、コンテンツの専門家がいない場合は自分で全部やることになる。」プロのインストラクショナルデザイナーはあらゆる分野の講座や教材の開発に教育の専門家として関わるので、必ずしもその分野の知識を持っているわけではない。その際、その分野の知識を身につけることではなく、その分野の知識を持った人と共同作業ができるところにプロとしての付加価値がある。それに関しては、Needs assessmentやSubject matter分析の手法がいろいろあって、それらは専門家から知識を引き出すのに有効だ。インストラクショナルデザイナーはそうしたスキルを駆使しながら、他分野の専門家と協働作業ができなければならない。