朝は7時過ぎ起床。ボランティアの詰め所に行くと、あいにく食べ物はほとんど残ってなくて、かろうじて最後のパンとコーヒーをゲット。今日の仕事も各部屋のプロジェクタセッティングなど。出たいセッションには出れるので、いくつか興味のあるセッションに参加した。今日のハイライトはQuestioning Merillというセッションで、インストラクショナルデザイン分野の重鎮のDr. Merillに、Dr. ReigeluthやDr. Jonassenといったこの分野のリーダーや第一線の研究者たちが質問をする形のセッションだった。「単なる情報伝達はインストラクションではない」「オーサリングソフトウェアを使うのはインストラクショナルデザインとは違う」「おもちゃ(テクノロジー)をもてあそんでいても教育はよくならない」といった重鎮ならではのメッセージや、質問者のたちの研究について、自身の見解を述べたりしていた。こういうセッションを生で観れるのがカンファレンスの醍醐味だろう。隣にDr. Grapouskiが座って、「今日の話を理解しているかComprehensive Examに出すからしっかりと聞きなさい」とおどされながらだったが、ほんとにしっかり聞くに値する内容だった。惜しむらくは英語力のなさと不勉強のせいで、理論的な細かい話がちんぷんかんぷんだったことだ。来年はわかるようになっていたいものだ。
セッションの後、AECTの本屋のブースの手伝いをすることになった。ただの店番で、客の質問に答えたり、在庫を並べたりするだけの仕事なのだが、これが楽しい。前から本屋か図書館で働きたいと思っていたのだが、なんということもない仕事なのに楽しさが湧き上がってくる感じがした。これは生まれ持ったものなのだろう。一つ夢がかなったような気がして、会う友だちみんなにそのことを話した。本屋担当のAECT事務局のおばちゃんも喜んでくれた。あまりに熱心に働いて、閉店時に在庫を数えようとかがんだとたんにズボンの股が裂けて穴が開いてしまった。目立たないからそのまま閉店まで働いたが、レセプションの前に着替えに帰らなければならなかった。
ズボンを替えて、参加したのは大学主催のレセプション。各大学の名前で部屋が予約されてあって、その大学の教員と学生、卒業生や関係のある人たちの交流会だ。うまいものが食べられると期待していたのだが、並んでいるのは簡単なオードブルだけ。飲物はまたしても有料のバーで買わないといけない。他の大学の会場にローストビーフなどならんでいたのでそこで食べ物を調達し、飲物はワインを買った。教員も院生も飲物なしで食べている人が多い。もともと酒を飲まない人もいるのだから、水くらい置いておけばいいのだが。
食べ物のことはともかく、レセプションではPenn Stateの教員や卒業生たちと話ができた。このカンファレンスに参加している日本人はぼくともう一人オクラホマ大の院生だけらしいので珍しがられた。前から話したいと思っていたDr. Geとも話ができた。後半になると、他の会場から顔を出してくる人たちが増えて、Dr. JonassenやDr. Reigeluth、Dr. Merillの三人が、Penn State部屋に顔をそろえた。この三人にはしごして挨拶して回るというのはなんともぜいたくなことだ。惜しくもDr. Reigeluthはつかまえることができなかったが、Dr. Merillには今日のセッションの感想など聞けた。他の院生たちは自分の研究テーマを説明して、アドバイスを求めたりしている。自分も早く研究を掘り下げていって、そういう話が出来るようになりたいものだ。レセプション終了後は、Dr. Dwyerと話をしながら、他大学主催のデザートレセプションに顔を出して、うまいコーヒーとケーキを食べてホテルに帰った。帰って調査報告の仕上げ。あとちょっとで完成というところまで来たが、今日は終えることはできなかった。