「シリアスゲーム論」シラバス案

 4月から東京工芸大学のゲームコースで「シリアスゲーム論」を非常勤で担当します。日本初で今のところ唯一でもある、始めから終りまでシリアスゲームを扱う科目であります。
 大学への講座概要の提出が先週だったので、シラバス案を作成しました。詳細はまたこれから準備していきますが、下記のような構成で実施しようかと考えています。
 ゲームクリエイター志望の学部生たちを対象とした授業で、特にゲームプランナーとしてのスキルアップを意図した構成にしています。基本的には授業時間中に集中して参加して、グループワークにハマってくれれば楽しく学べる内容となるように考えていますが、うまくいかないところを調整しながら、まずは楽しくやっていく感じでしょうか。
 豪華ゲストをお呼びしたゲストセッションの回を企画していて、これから日程調整のご相談含め、正式にご依頼をするところです。都心からは少し離れた厚木まで足を運んでいただくのは恐縮なのですが、お越しくだされば幸いです(>ゲストの皆さま)。
 大学の科目をフルでひとコマ担当するのは初めてなので、とても楽しみです。いつかこのような機会に試してみようと温めていたアイデアを試したりして試行錯誤しつつ、よい学習の場を創っていこうと思いますが、さて、どうなることやら。
—-
東京工芸大学 芸術学部 アニメーション学科 ゲームコース
(2009年度前期)
シリアスゲーム論
担当教員:藤本 徹
授業概要:
 この授業は、従来のエンターテインメント以外の目的で開発・利用されるデジタルゲーム「シリアスゲーム」の概念を学び、実際にシリアスゲームの企画を立てる過程を経験しながら、受講者自身がシリアスゲームに対するゲームクリエイターとしての自身の見解やスタンスを持ち、将来のゲーム企画、開発に活かせるようになることを目的としている。
 授業時に実施する小ワークショップ、事例研究やグループプロジェクトを通して、シリアスゲームと従来のゲームの違いを理解し、企画提案の経験を積むことができるように授業を構成している。また、楽しみながら学習できるように課題負担のバランスを考慮している。
 シリアスゲームに関する知識だけではなく、社会のためになる独創的なゲームを企画する力をつけるために、自分自身のクリエイターとしての個性や強みを理解し、基礎的なゲーム企画力を向上させる学習機会を提供する。主にプランナー志望者向けの内容を中心としているが、他の職種志望の学生にも十分に対応している。
授業計画:
1)ガイダンス
・ワークショップ(1)ゲーム経験を強みに
2)シリアスゲームとは(1)ゲームと学習
・ワークショップ(2)学習経験を振り返る
3)シリアスゲームとは(2)対象と領域
・ワークショップ(3)シリアスゲームの発想
4)シリアスゲームの事例研究(1)教育へのゲーム利用
・グループプロジェクトキックオフ
5)シリアスゲームの事例研究(2)社会問題とゲーム
・ワークショップ(4)企画トレーニング
6)学習要素を理解するためのフレームワーク
・ワークショップ(5)学習要素の整理
7)グループプロジェクト企画提案
8)エンターテインメントとシリアスの境界(ゲスト講演)
9)シリアスゲームビジネスの実際(ゲスト講演)
10)シリアスゲーム企画の実際(ゲスト講演)
11)グループプロジェクト中間報告
12)シリアスゲームの事例研究(3)目的とデザイン
・ワークショップ(6)経験から次の実践へ
13)シリアスゲームの事例研究(4)成果の評価
・ワークショップ(7)評価項目の作成
14)シリアスゲームの社会的意義と可能性
15)グループプロジェクト成果発表会、まとめ
※招待ゲストの都合等により、授業の日程や内容を変更する場合あり。
履修上の注意:
履修の前提条件は特になし。プログラミング、グラフィック制作等のスキルはグループプロジェクトにおいて有用だが、必須ではない。
成績評価方法及び試験方法
定期試験は実施せず、次の項目で成績評価する。
・授業参加(5%)
・授業時の小課題(50%)
・グループプロジェクト成果物(35%)
・グループプロジェクト相互評価(10%)
教科書等:
藤本徹「シリアスゲーム-教育・社会に役立つデジタルゲーム」東京電機大学出版局
馬場保仁・山本貴光「ゲームの教科書」筑摩書房
上記の他、参考文献や参照ウェブサイトを授業時に指定する。