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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第82号)

発行日:平成18年10月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. Active Senior −熟年の危機と生涯学習の処方箋−

2. 学社「連携」の「片務性」、学社「融合」の空論

3. 保護者は何を見たか? 夏学期「豊津寺子屋」保護者調査の集計と分析

4. 第71回フォーラムレポート

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

第71回フォーラムレポート
おそらくは『日本一のコミュニティ小学校』福岡県須恵町の小学校を拠点とし、小学校区を核としたまちづくりー

  今回のテーマは「コミュニティ・スクールとまちづくり」である。報告者は須恵町教育委員会参事の吉松良徳さんと須恵町立須恵第一小学校のコミュニティ主事の中里 文さんのお二人であった。ちなみに中里さんは須恵町の社会教育委員さんでもある。
  筆者の知る限り、須恵町のコミュニティ・スクールの実践とまちづくりの結合は日本一であろう。空き教室を様々に有効活用している事例はあるが、小学校に公民館主事を配置し、小学校を拠点にボランティア活動、コミュニティ情報の提供、学級・講座、スポーツ大会、コミュニティの祭、運動会、バザー、防犯運動までを展開している小学校区はまず存在しないであろう。学校は必ずしも社会教育との「協働」に前向きとは限らないが、それでも校内に上記のような活動拠点があれば、様々な連携や協力も自然発生的に生じる事は疑いない。その証拠に、地域の人材が学校教育に取り入れられている実例も極めて豊富である。
  発展の経緯の中で、吉松さんの報告によると、小学校を起点とした生涯学習・まちづくりの事業が可能になった切っ掛けは、地区公民館が「存在しなかった」からである、との説明であった。しかし、決してそうではないであろう。本当の理由は、コミュニティ・スクールの確固たる思想があり、町長さん以下町の幹部の政治的英断とリーダーシップがあり、その指示を受けた吉松さん以下社会教育関係職員の奮闘の賜物であった筈である。なぜなら、小学校区に地区公民館が存在しないまちはいくらでもある。また、いまでも各小学校区にちゃちな公民館を建てたり、建てようとしている町もたくさんある。コミュニティ・スクールの理想のないところにコミュニティ・スクールができる筈はなく、コミュニティ・スクールを拠点に小学校区ごとのまちづくりをやろうという意志の無い町に小学校駐在の公民館主事が生まれる筈もないのである。ほとんどの学校は学校施設を開放し、地域の利用に供するという一点ですらも拒否するのが実情である。須恵町の実践は「コミュニティで育つコミュニティを育てる学校づくり(教育改革国民会議報告書、H.12.12)」を目指しており、「新しいタイプの公立学校」の可能性への挑戦である。「公民館主事のいる小学校」が如何に時代の先端を走っているかが分るであろう。
  運営は「コミュニティ役員」と呼ばれる方々に一任される。予算は年間で一定額が渡され、執行の自由も任される。コミュニティ役員には区長も、PTAも、学校長も入る。事務局は社会教育委員をかねるコミュニティ主事が担当する。毎月の事業計画が立案され、コミュニティ通信で広報が行われる。町全体で実施される各種事業に比べて、小学校区という生活圏に落とした事業の参加者数は当然多くなる。それだけ生涯学習・スポーツが住民の中に浸透し、地域の交流・コミュニケーションも密になっているはずである、と吉松さんは胸を張る。
  「校区コミュニティ」の「意義」は以下のように要約されている。

* 開かれた学校づくりの実践
* まちづくり、ひとづくりーみんなが動き、働いた充実感を味わえるのは小学校区の範囲
* 地域の特性を活かすことができ、生涯学習事業の再構築が可能になる
* 予測される市町村合併を踏まえたまちづくり(以下略)

フォーラム参加論文は「Active Senior−熟年の危機と生涯学習の処方箋」(三浦清一郎)である。概要は補筆修正を行った巻頭小論の通りである。

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