最近、「消えた年金」問題報道で賑わっているが、これはビジネススクールの問題解決やリスク管理などの授業では恰好の議論ネタになる。たぶんもうやっているところもあることだろう。自分が安部首相や柳沢大臣のような立場にいたとしたら、まず何を考えてどう対処するか。テレビを見て怒ったり萎えたりしているだけでなくて、自分が当事者だったらどうするのかを考えた方が有意義だろう。
ビジネススクールなどでやっているケースメソッドのような教育法は、基本的には仮定のシナリオの中でどう対処するかを当事者の立場で本気で考え、教師や他の学習者とのやり取りの中で学びを深めていく作業だ。その作業に熟練していくに従って、自然と普段からそういう思考スタイルが身について、問題を切り分けたり段取りをつけて考えたりすることができるようになる。ビジネススクールなどの社会人教育機関は、何かを教えてもらう場というよりも、気づきや学びにつながる作業を真面目に一緒にやれる場として価値があるのだと思う。
ビジネススクール的な問題解決思考法も少しは一般に広まってきたような気もしていたが、みんな5000万件のインパクトに飲まれて、問題の実態に切り込んで考えている当事者は報道で見る限りは出てこないところをみると、あまり普及していないのか、それとも当事者たちが目にしている問題はそれ以上にものすごく深刻なのか。いずれにしても、社会的な問題を題材に、もし自分が当事者になったらどう対処するかを考えておかないと、いざという時にはあたふたして大臣たちと同じようなヘマをしてしまうだろう。