前回のデザインの話にちょうど関連して面白いインタビュー記事があった。シムシティやザ・シムズなどの多くの人気ゲームを手がけたクリエイター、ウィル・ライト氏の新作「SPORE」に関するインタビュー。
7年がかりで,ついに完成した「SPORE」。プロデューサー,Will Wright氏のインタビューを掲載 (4Gamer.net)
http://www.4gamer.net/games/020/G002026/20080814032/
これは、7年もの長期にわたる上、ライト氏が8人のデザイナーを取りまとめるリードデザイナーとして活動するという大規模プロジェクトなので、そんなに一般的な話ではない。だがそれだけに、デザイナーの役割がかなり色濃く示されている。SPOREは、そのゲームの特徴から、これまでのライト氏の作品以上にシリアスゲーム界隈でも注目されているタイトルだ。2005年のGDCでのSPOREのデモお披露目以降、SPOREに注目していると言及している人々を見かけることが多かった。
このゲームの開発には、当初2年間をリサーチにあて、その後プロトタイプ制作、本格的な開発とだんだんと規模が大きくなって、最終的には120名もの開発チームになったそうだ。このゲームは、普通なら複数のゲームタイトルに分けて出されそうなボリュームのものを一つのタイトルとして出しているようなもので、このようなことは大手ゲーム会社の大規模プロジェクトだからできる。長期にわたる開発から、着実に良いゲームに仕上げていき、製品として完成させるというのは、並大抵の経験やスキルでは実現できないだろう。
それからもう一つついでに、少し前の記事だが、カリフォルニア州在住のゲーム開発者IDA-10さんのブログで、アメリカのゲーム開発会社の開発者のデザインの進め方やそのノリの特徴が説明されている。
ゲーム開発における日米の違い(Game Never Sleeps)
http://d.hatena.ne.jp/IDA-10/20080519/1211204273
これは、米国の会社でゲーム開発プロジェクトがどんな感じが描写されていて面白い。これが日米の違いなのかはよくわからないが、実際にその組織の文化やノリの違いがチームの動きに影響するのは確かだろう。これはゲーム開発に限った話ではなくて、何の開発でも同じこと。企画段階ではフットワークよくあれこれ試しながら進める方が効率がよいし、企画やデザインの標準的な進め方がそれに適したものである方がよい。その意味では、ゲームエンジンなどの開発環境が整備されて、個人単位でいろいろと作って試せるようになったのはよい流れなのだろう。
こういう状況がインストラクショナルデザインに関してどうなのかを対比して考えてみると、どのあたりを変えていく必要があるか考えていく上で参考になると思う。