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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第46号)

発行日:平成15年10月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 「学校マニフェスト」の時代

2. 政治問題の背景

3. 第39回  大分県立生涯教育センター移動フォーラム 「地域の教育力を問う」

4. 総合的学習の破産−文教政策の清算

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

お知らせ

第40回生涯学習フォーラム

   第40回生涯学習フォーラムは会場の福岡県立社会教育総合センターの20周年の記念事業に参加することになりました。いつもの第三土曜日が金曜日に変わっておりますのでスケジュールに御注意下さい。午前は子ども達の体験活動の発表、午後はシンポジュ−ムです。変則スケジュールのため参加論文及び夕食会はありません。

日時:平成15年11月14日(金)

場所:福岡県立社会教育総合センター

シンポジュ−ム(14:15〜16:30)

テーマ:「今こそ、体験活動の質と量を問う」

登壇者:大村璋子(環境デザイナー、世田ヶ谷プレイパークの創始者)、今井佐知子(大留蒲鉾取締役、やまぐち子育て県民運動協議会会長)、正平辰男(東和大学教授)、三浦清一郎(コーディネーター、生涯学習研究者)

事前参加申込みをお願い致します。(担当:肘井)092ー947ー3511まで

 

「風の便り」2003年号の登録について

   1年区切りの購読更新の季節になりました。

「風の便り」も46号となり、やがて5年目のサイクルにはいります。一年間のご支援ありがとうございました。多くの方々のご支援のおかげで、来年も購読料は無料で続ける事ができます。購読をご希望の方は90円切手12枚を同封の上事務局までお送り下さい。すでにお知らせしているとおり、アメリカの藤本 徹さんのお力添えで定例のフォーラム「参加論文」と「風の便り」を共にオンライン化しております。合せて御利用下さい。メッセージカードを同封します。ご意見、感想など御自由にお書き下さい。

 

編集後記 「お上」の風土

1  「お上」の風土と巨大施設

   早いものである。福岡県立社会教育総合センターが設立20周年を迎える。第39回フォーラムは20周年記念事業への参加をもって代えることとなった。センターと筆者の付き合いも設立以来20年である。中・四国・九州地区生涯学習実践研究交流会の代表世話人を務めて以来のことである。様々に紆余曲折はあったが、大会の継続と成功は、「お上」の施設としての信用とセンターが有する拠点機能を前提としない限り、あり得ることではなかった。10回大会ぐらいまでは参加各県から大会会場を持ち回りにして欲しいというご意見・要望が毎年出された。しかし、実際にはどの県でもセンターに匹敵する機能とサービスを無料で提供するという機関決定を得ることはできなかった。当時は、もちろん、広域行政や道州制の議論が起こる遥か以前のことである。その時点で、会費もとらず、財政的裏付けもない任意の団体が、九州地域を横断する宿泊型の研究大会を実施すると言うことは想像できなかったのであろう。後にこの九州大会は、中・四国・九州地区横断型の宿泊型研究集会に発展する。遠くから関係者が来て下さったのは、第一に社会教育センターが有する「お上」の信用であったろう。第二は、もちろん、500人の宿泊が可能な巨大施設の拠点機能と関係者の支援意志のお陰である。

2   「お上」の信用とはなにか?

   日本は何ごともお上のイニシャティヴで始まる。徳川幕藩体制が確固として築いた風土である。それは、明治、大正、昭和と敗戦まで改められることなく引き継いできた行政主導型の原理である。戦後は国民主権が歌われ、市民参加が合い言葉になったが、行政が主導する基本的なスタンスはつい最近まで変わることはなかった。「お上」が始めなければ何ごとも始まらないのは暮らしの大勢であり、日本社会の根底を為す心情/風土である。

   今になって行政主導型の社会のあり方は市民社会の原則に反するとあまり評判はよくないが、日本の近代化の成功は行政主導型の成功でもあったことは否定できない。「護送船団方式」といわれ、「日本株式会社」と自認してきた官民一体となった行政主導のやり方が今日の日本の礎を築いたことは疑いない。社会教育においても然り、市民主体であるはずの生涯学習でも同じことである。ましてや、学校教育においてはいまだに文部科学省があらゆる面で主導する典型的な行政主導のシステムである。

3   行政お膳立てのボランティア

  ボランティア指導者の研修会もほぼ同様であった。ボランティア活動の参加者の側から、市民の主体性が説かれた。ボランティアは自立した活動であるべきだという発言が続いた。しかし、建て前は明快でも、研修会自体、予算、広報に至るまで、活動の大部分は行政に依存している。ボランティアの成果も、「ようやく行政の認めるところとなった」という発表であった。確かに、行政の支援なしには市民のボランティアも出来ないのである。欧米では笑い話になっても、日本では真面目な問題である。行政の支援があって始めて市民は自立するのである。子ども会も、婦人会も、PTAも、その他の多くの社会教育団体も、当然制度上の自立と独立は保証されている。しかし、その運営は全く自立していない。関係者が自立と独立を望まないからであろう。会の運営は予算から広報連絡、プログラムの作成まで行政事務に頼らざるを得ない。それゆえ、行政から独立して動き始めた近年のNPOは革命的例外である。生涯学習を推進するNPOと社会教育関係団体が法制上の行政支援を巡って衝突するのは時間の問題であろう。

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