今週から新たに、大物ロックバンドのリードシンガーを目指すオーディション番組Rockstar: Super Nova が始まり、この夏のお気に入りテレビ番組に加わった。
昨年は、80年代の超人気バンドINXSが再結成されて、そのボーカルに若手を抜擢するためのオーディションだった。今年はさらにすごい。元モトリークルーのトミー・リーがドラム、ベースが元メタリカのジェイソン・ニューステッド、ギターが元ガンズ&ローゼスのギルビー・クラークという豪華な顔ぶれで結成された新バンド「スーパーノヴァ」のリードシンガーの座を目指して、最終選考に残った15人の若手シンガー達が毎週パフォーマンスを繰り広げ、視聴者投票で一人ずつ脱落していき、残った一人がリードシンガーに選ばれるというもの。リードシンガーに選ばれた優勝者は、今年末発売予定のアルバムと、その後のワールドツアーに参加できる。
プロデューサーは「サバイバー」「アパレンティス」などのリアリティショーを手がけてきたマーク・バーネット。彼の手にかかれば、バンドのオーディションがテレビ番組のコンテンツとしての価値を放ち出す。「サバイバー」以降、さまざまなリアリティショー番組がフォロワーとして登場したが、やはりこの分野の先駆者が繰り出す番組には、他のプロデューサーにはないスパイスが感じられる。
そして、番組の副題に「トミー・リー・プロジェクト」とついているように、バンドのメインはトミー・リー。昨年放映された「トミー・リー大学へ行く」というリアリティショーでも、カッコよいロックオヤジぶりが話題となっていた。彼だけでなく、他のメンバーも豪華なのだが、そこはさすがトミー・リー、エロいオーラが出まくっていて、見るものの目を離さない。
挑戦者達も、かなりレベルが高い。「アメリカン・アイドル」や他の同種のオーディション番組が、一次予選から見せることで、素人の面白さの部分も番組の演出に含めているのに対して、この番組は最終選考のところからのスタートしている。2万以上の応募者の中でここまで勝ち残ったシンガー達は、なかなかの実力の持ち主達である。
特に女性シンガーのStorm(Storm Large というすごい本名)はオーラがある上にバランスが取れており、Dilanaは、個性的なハスキーヴォイスで、パフォーマンスのキレ具合がすさまじい。この二人のロック姐さんがかなり上位まで残るのは間違いなく、優勝できなくてもすぐにいいディールを獲得できそうないいパフォーマーたちだ。
男性シンガーの方は、ルックスがよくても歌唱力がいまいちとか、歌が上手くても、フロントマンとしては線が細い感じのが多い。その中でも、声がよくてバランスのとれた感じのTobyとルックスがやや微妙ながらも歌はなかなかでパフォーマンスがキレていたLukasの二人が一歩抜け出ていた感じ。
そもそもこの番組も、出てくる挑戦者達に実力がなければ魅力も半減なわけで、その点はアメリカの市場の大きさと、パフォーマーの層の厚さの上に成り立つ番組だと思う。素材がよければ、そのまま見せても間が持つのであって、そこはヘンな演出や加工は必要ない。素材の見極め方は、プロデュースの重要なスキルであって、その点マーク・バーネットは、素材の活かしどころと味付けどころの見極めの上手さが、番組の持ち味となっている印象を受ける。彼のもとで働いたりすると、いろいろ面白いことが学べるんだろうなと思う。