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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第83号)

発行日:平成18年11月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 熟年の体力維持とストレス・マネジメントの方法 −助言の論理矛盾と安楽余生の陥穽−

2. いじめの風景  T. Nさんへ 

3. 社会教育委員制度の活性化

4. 第72回フォーラムレポート

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

第71回フォーラムレポート  『稼ぐ生涯学習施設−福岡県赤村「源じいの森」』

  今回のテーマは「第3セクター;生涯学習施設の運営論」である。報告者は福岡県赤村、自然学習村「源じいの森」常務理事 太田 傅さんである。全国の第3セクターのほとんどが赤字経営に苦しむ現状で「源じいの森」は利益を上げて村に貢献している。理由はたった一つ。企業論理の経営が徹底しているからである。その指揮を取っていらっしゃるのが太田さんである。公的生涯学習施設の多くが意識するとしないとに関わらず、そこで働く職員本位であるのに比べて、「源じいの森」は徹底してお客本位である、と太田さんは断言する。変化の時代に生きて、経営者の「唯一確実な指標はお客さまである」。施設が成長し続ける最大の要因は「お客さまの満足度」だからである。言われてみれば当たり前だがお客がいなければ施設は成立しない、と太田さんは喝破する。
  「森」が栄えれば村がうるおい、村民の満足に繋がる。経営の目標は以下の通りである。
  (1) 競争にかつ顧客満足度の徹底
  (2) (顧客獲得の)競争力の向上
  (3) コスト(削減)競争力の向上

  どこの企業と比べてもスローガンに遜色はない。太田さんは村民と徹底的に話し合い、施設の維持・管理にも、運営にも多くの村びとの力を借りることに成功している。また村民の中から各種の講師人材を発掘し、「学び合い・教え合いネットワーク事業」も確立している。四季折々に村の自然と文化を活かした様々な展示会・発表会・観賞会などを開催している。
  生涯学習機能と「森の施設」機能は、見事につなげられ、宿泊、研修、体験、展示、交流、温泉を活用した健康やゆとりなど多岐に及んでいる。世は挙げて文化やゆとりの時代である。当然、類似施設は多い。そうした状況の中で「森」の予約はいつもいっぱいであると聞く。勝負は「サービス」の質であり、「従業員」の献身とお客さまとの交流である。なかなか「親方日の丸」でできる話ではない。太田さんが施設にかける使命感とエネルギーにフォーラム参加者はみな打たれた。最後は「ひと」である、という社会教育の結論を再確認した次第である。

● フォーラム参加論文は「熟年の体力維持とストレス・マネジメントの方法ー助言の論理矛盾と安楽余生の陥穽ー」(三浦清一郎)である。大幅に補筆修正を行い巻頭小論として掲載している。
 

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