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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第64号)

発行日:平成17年4月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 「一石数鳥」と「温故革新」

2. 社会復帰の"実践的"処方箋

3. 忘れられた被害者、人権問題の断片−原因と結果−

4. 第56回生涯学習フォーラム報告

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

お知らせ 第57回生涯学習フォーラム

  フォーラム実行委員会では第25回中国・四国・九州地区生涯学習実践研究交流会を期して記念出版を行うため編集の準備を開始しています。そのため当分の間、各地の事例発表のお招きはお休みとし、代わりに、過去の「交流会」の発表の中から注目すべき事例を選び、その意義と内容・方法を実行委員の持ち回りによりそれぞれが小論文の形にまとめて発表する形式を取ります。

◆日時: 平成17年6月18日(土)15時-17時 のち「センターレストラン『そよかぜ』にて夕食会」
◆場所: 福岡県立社会教育総合センター
◆テーマ及び事例取りまとめ者:
1 正平辰男 (仮)「生活体験学校が問うたもの」(東和大学)
2 永渕美法 (仮)「きよらの里づくり」(九州女子短期大学)
3 三浦清一郎 (仮)「生涯学習革命」の30年・・・実行委員座談会
ふるってご参加下さい。準備の関係上、事前参加申込みをお願い致します。092-947-3511(担当:恵良)まで。


◆ 編集後記 ◆「指針」と「課題」の落差◆

先日、ある町の教育長室でお茶をご馳走になった。壁に「教育指導の指針」が貼ってあった。その下には現在の「緊急課題」が列挙してあった。一読して、「指針」と「課題」の落差の大きさに驚いた。指針は言う。

一  人間としての良識と公徳心の育成
一  基礎学力の習得と豊かな創造力の育成
一  健康な身体とたくましい精神力の育成
一  日本人としての自覚と国際意識の高揚

この指針の真下に貼られた「緊急課題」は次のように言う。

○  教職員の不祥事防止
○  不登校の解消
○  児童・生徒の安全確保
 
学校教育の中に居ない者にとって、「指針」と「課題」の落差の大きさは異常である。教職員が不祥事を続発させている中でどうしたら「公徳心の指導」や「日本人の自覚」を説き、「精神力を育成」し、「国際意識を高揚」させることができるのか!?学校に来ることも出来ない子どもが沢山いて、どうして基礎学力やたくましい身体を育てることができるのか!?児童生徒の安全が問題になっている時、何を根拠に人間としての良識を説くのか!?
 人間が遭遇する問題は具体から抽象へとつぶして行かなければならない。"本を書くぞ!"と決心しただけでは、執筆も、編集も進まない。対象を選択し、領域を決め、テーマを選んで、一日数ページずつ仕事を進めた時、数カ月後、初めて成果が見え始める。
  あらゆる問題解決は「具体」の一歩からしか始まらない。特に、教育問題は実践的な解決力が重要である。抽象的な文言をいくつ並べても、日々の教育実践に"翻訳"することが出来ない。上記の指針においても「人間として」とか、「豊かな」とか、「たくましい」とか、「日本人としての国際意識」とか、具体的な中身は一向に明確ではない。この際、抽象的な理念は有害無益である。しばらくは豊かな人間性も、国際意識も、創造力もさておいて、目の前の現実問題を解決してみてはどうだろうか?それゆえ、「緊急課題」こそが指針であるべきである。そのためには具体的な方法論こそが鍵である。三つの課題の解消策を具体的に掲げて一年間実施してみることである。一年、懸命にやってみて、効果がなければやり方が間違っているのである。方法論の背景にある教育論も間違っているのである。その時、初めて教員教育に付いても、子どもの鍛練に付いても、子どもの安全や子育て支援に付いても、戦後教育の誤謬が明らかになるだろう。その時はじめて、個別・具体の方法論とプログラムが進化するのである。


『編集事務局連絡先』  
(代表) 三浦清一郎 E-mail:  kazenotayori@anotherway.jp

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