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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第61号)

発行日:平成17年1月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 「主体性」の原則と謙譲の美徳 −ボランティア文化の異質性−

2. "シリアスゲームジャパン"

3. 部分課題から全体課題へ−教育課題から政治課題へ−

4. 第52回&第53回生涯学習フォーラム報告

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

お知らせ

第54回生涯学習フォーラム
 フォーラム実行委員会では第25回中国・四国・九州地区生涯学習実践研究交流会を期して記念出版を行うためその準備を開始しています。そのため当分の間、各地の事例発表のお招きはお休みとし、代わりに、過去の「交流会」の発表の中から注目すべき事例を選び、その意義と内容・方法を実行委員の持ち回りによりそれぞれが小論文の形にまとめて発表する形式を取ります。
日時: 平成17年2月19日(土)15時−17時、のち「センターレストラン『そよかぜ』にて夕食会」
場所: 福岡県立社会教育総合センター
テーマ及び事例取りまとめ者:
1 樋田 京子   (発表事例未定)   (福岡県教育庁生涯学習課)
2 大島 まな  (発表事例未定)  (九州女子短期大学)
参加論文:
 「現代における少年鍛錬プログラムの意義と方法(仮)」 (報告者 三浦清一郎)

フォーラム終了後センターレストランにて「夕食会」を企画しています。ふるってご参加下さい。準備の関係上、事前参加申込みをお願い致します。(担当:朝比奈)092−947−3511まで。
 

● ご注意!! 日程変更 第55回生涯学習フォーラム ●
開催日:
第3土曜日 平成17年3月19日(土) → 第2土曜日 平成17年3月12日(土)


編集後記     意識的条件か、組織的条件か?「抵抗勢力」の抵抗メカニズム

 いただいた年賀状の中に壱岐の小学校の改革実践は給料をもらって仕事としてやっている教師集団なのだから学校の努力は当然だという趣旨の感想が述べられていた。感想を書かれた方に悪気がないのは重々分かって入るが、筆者の思いとは逆である!。身分と給料を保障されているから新しい挑戦ができないのである。壱岐の努力は決して「当然」ではない!
  何よりの証拠は、身分と給料を保障されて、新しいことに挑戦し、成果を上げている学校を探す方が断然難しい。壱岐は身分と給料が保障されているにもかかわらず「よくやった」のである。それが現代日本の分析視点である。小泉改革が挑んでいるのもそうした日本の現状である。似たような指摘を「組織の壁」にぶつかりながら実践を続けている方からも受けた。思わず"分かっていない"と呟いてペンを取った次第である。我々のまわりには「意識の壁」と「組織の壁」という種類の異なった二つの障碍がある。学校や地方自治体の無為・無策は「意識の壁」の故である。ボランティアや意欲的な個人の実践を阻んでいる壁は「組織の壁」である。もちろん、「組織の力」が「力」に成り得ないで、逆に、試行や挑戦に対する障壁になっているのは、組織を構成する人々の意識に帰結することはいうまでもない。「意識の壁」こそが「抵抗勢力」の正体である。給料をもらって、一生の仕事を保障され、免許状の更新もなく、「学級王国」などとうそぶいて、閉じられた学校の中で暮らしていれば、教員は変わる必要はない。まして、大部分の小学校にとって、競争相手はごくひとにぎりの私学である。厳しい大学受験を前にした時、公立高校の大部分が私学に敗れさったことはこの数十年で明らかであろう。その私学ですらも行政の手厚い私学補助を受け、今や株式会社立の学校の挑戦を受けようとしている。過剰に保護されたものは努力を忘れ、挑戦を避けるようになる。安きに流れるのは人間の性である。安全地帯にいる既存の組織・機関の大部分は、時代が変わろうと世間が変わろうと、変わりたくないといえばそれがまかり通る状況に置かれているのである。学校も、役所の各部局も余計な仕事はしたくないのである。今以上の仕事はしなくてもいい状況がまかり通るのが実際である。外からの改革、上からの改革を導入しなければならないのはそのためである。役場の職員も同じである。小泉内閣の「三位一体」改革が曲がりなりにも実現して、地方分権が始まった途端、多くの地方で政治や行政が腐敗することは疑いない。地方議員も、地方公務員も安全地帯にいる。勉強もしていない。世界とも付き合ったことはない。住民も行政依存で、政治的に無関心で、「パンとサーカス」に忙しい。
  壱岐の小学校の改革努力を『当然』とする者は、他の教員や役場職員の無為・無策を忘れている。給料をもらって、身分と職業を保障されているからこそ変わる必要がない、ということに気が付いていない。既得権を有している人間は変わる必要がないのである。小泉改革が挑んでいるのもそうした日本の現状である。近隣の学校に壱岐の小学校のようにやれた所があるだろうか?高齢者対策でも、子育て支援でも時代の必要を先取りして新しい施策に挑戦している近隣の自治体がいくつあるだろうか?


『編集事務局連絡先』  
(代表) 三浦清一郎 E-mail:  kazenotayori@anotherway.jp

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