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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第49号)

発行日:平成16年1月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 専門と縄張り =不毛の「学社連携」の根本原因=

2. 市場価値と存在価値、「英語徴兵制」と「英語監獄」

3. 合併戦略の方向

4. 第41回生涯学習フォーラム報告 「表現指導の原理と方法」

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

お知らせ

第43回生涯学習フォーラム“この指とまれ”

日時: 平成16年2月21日(土)15時〜17時、のち「センター食堂にて夕食会」

場所: 福岡県立社会教育総合センター

テーマ:幼児教育・保育における心身の「鍛錬」

事例発表者:交渉中

参加論文: なぜ幼い時に鍛えるのか(仮題)(三浦清一郎)

フォーラム終了後センター食堂にて「夕食会」(会費約600円)を企画しています。準備の関係上、事前参加申込みをお願い致します。(担当:肘井)092ー947ー3511まで


編集後記

古い手帳 −サミュエル・ウルマンの忠告−

   暮れに大掃除をしていたら積み上げた書類に混じって一冊の古い手帳がでてきた。大部分は白紙のままであった。手帳の最後にサミュエル・ウルマンの「青春」の一節のみが写し取ってあった。今になって読み返すと、一行一行が当時の心境を反映している。

人は信念とともに若く

疑惑とともに老ゆる

人は自信とともに若く

恐怖とともに老ゆる

希望のある限り若く

失望とともに老い朽ちる

(サミュエル・ウルマン)

   大学に関わっていた頃の最も苦しい時期の手帳である。最後は泥沼の紛争の中で、人事の面でも財政の面でも大学の機密に属する事件の処理を担当した。外国が舞台であったので英語で仕事をしなければならなかった。限られた人びとの支援は、時が時だけにどれほど有り難かったことか。しかし、その大部分は心情的な支援であった。機密の問題があるので、苦労の中身は基本的に他者に説明することはできなかった。私の近くにいた(と思われた)人々が大学からも、自分からも次々と去って行った。人間嫌いになったのはこの頃のことである。親しげに振る舞いながら状況の意味が分からず、無責任な評論めいたことをいう奴は真底腹が立って許せず、いまだ許してはいない。人生には時にそのような季節が巡るのであろう。

事件処理の指揮をとった間は、疑惑と戦い、恐怖と戦い、失望と戦った。信念も自信も希望も失うことはなかった。罵詈雑言にも、犯罪者呼ばわりにも耐えた。しかし、事件処理のほとんどを終えた後、監督官庁の対応や後継者の振る舞いを目の当たりにして、戦いの意味を見失った。それゆえ、本当の疑惑も、恐怖も、失望も辞めた後にやって来た。戦っている間は大丈夫なのである。戦いの意味を見失った時が危機であった。

   9年のブランクを経て、社会教育・生涯学習の研究者に戻った今、疑惑とも、恐怖とも、失望とも戦う必要がなくなった。したがって、組織の中で戦うための信念も、自信も、希望も必要ではなくなった。しかし、ウルマンの指摘通り、信念も、自信も、希望も、若さの保証であり、人間のエネルギー源である。エネルギーを作り出すためには、新しい”戦場”を発明しなければならなかった。「風の便り」を書き続けることはささやかな戦場の意味をもったのであろう。ボランティアで英語を教え始めたことも、毎月の生涯学習フォーラムに論文を提出し続けたことも同じ作用をしたのであろう。言葉の格調は及ぶべくもないが、ウルマンに真似て言えば、以下のとおりである。

人は努力の継続とともに若く

活動の停止とともに老ゆる

人は他者の承認とともに若く

孤立とともに老ゆる

自らの”戦場”とともに若く

”戦場”からの離脱とともに老い朽ちる

やりようによれば、生涯学習は熟年の戦場になる。「生きる力」の自家発電が可能になる。生涯現役とは常に己の戦い続ける対象を発明し続ける人を言うのであろう。お陰さまで来月は50号。これまでのご厚情に心から感謝申しあげる次第である。


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