April 09, 2012
近況と「シリアスゲーム論」開講に向けたお知らせ
新年度に入り、研究プロジェクトや授業の仕込みなどを進めています。ようやく昨年度の成果報告をしたと思ったら、息つく間もなく次の仕込みをしないといけない状況で、慌ただしく現職2年目に突入しました。
今年の担当授業は、慶應SFCの非常勤から外れたので、前期の授業は東京工芸大ゲーム学科「シリアスゲーム論」のひとコマです。それともう一つ昨年の状況と大きく違うのは、翻訳案件を抱えていない分ずいぶん気が楽です(翻訳の仕事は本当にしんどいです)。
これで少しは余裕をもって研究の時間に使えるかなと思いきや、本務のBEATのプロジェクト以外に、どれか通ればよいやと思って出していた3本応募していた外部資金の研究計画が3本とも採択をいただいてしまい、新規の研究プロジェクトとして実施することとなりました(うち2本は2年計画なのでまだ何とかなりますが、ちょうど適量の仕事が来ることはなかなかありません)。
これだけでも授業が減った分の空きの分はとっくにあふれているわけですが、昨今のゲーミフィケーションへの関心の高まりとともに、セミナー講師のご依頼や個別のご相談などをいただくことが増えていて、ありがたくも悩ましい状況になっています(お断りせざるを得ないことが多いので胃が痛みます)。
というところが近況で、ここから少し今年度の東京工芸大「シリアスゲーム論」に関するお知らせです。
今年度の「シリアスゲーム論」は月曜5限(16:40-18:10)で、来週4月16日より開講です。今年も聴講を(こっそり)オープンに受け入れてますので、ご希望の方はご一報ください(厚木キャンパスなので都心からはちょっと遠いです。ちなみに今年度までは厚木キャンパスで来年度からは中野キャンパスでの開講科目になるとのこと。)。
授業内容の詳細はまたお知らせしたいと思いますが、ただいま昨年度より導入した「クエスト型授業」のバージョンアップの仕込みを進めています。この授業のねらいとして、次のように設定しています。
・ 従来のエンターテインメントにとどまらない社会的目的で開発・利用されるデジタルゲーム「シリアスゲーム」に関心を持ち、関連する知識をより深く学ぶ
・ シリアスゲームに自らの見識を持ち、将来クリエイターとしての自身の仕事に役に立つ知識を身につける
・ ゲームと社会のつながりへの関心を高め、社会のためになるゲームの開発を実際に経験する
これらの学習機会をより楽しく、より密度の濃い形で提供するために、授業全体をゲームデザインの手法を取り入れた「クエスト型授業」として構成しているわけですが、その「クエスト」の工夫がこの授業の肝になっています。単にゲームっぽい世界観で呼び方を変えるだけでは学生はシラケるだけですし、見た目のゲームっぽさよりも、いかに意味あるチャレンジを提供できるかの方が重要だろうと考えています。
昨年は、「意味あるチャレンジ」として実際に世の中で提供されているシリアスゲームやゲーム型の学習コンテンツの事例をターゲットにして、勝手に改善案を考えて提案するという課題を設定しました。対象の一つは、「自衛隊」のウェブサイトのキッズコーナーのゲームコンテンツで、学生たちからはなかなか鋭い指摘があったり、学生に対して関係者の方に丁寧なフィードバックをいただいたりして、とてもよい学習機会が生まれました。
今年もさらにこうした実際に稼働しているゲームコンテンツや現実の社会問題を題材にしたゲーム企画を行っていきます。勝手にやるよりも、実際に想定できるクライアントがいる方がチャレンジも興奮度が増しますので、もし「うちのサイトで提供しているウェブサイトのゲームコンテンツを料理してほしい」とか「このテーマでシリアスゲームの企画を学生たちに考えてほしい」といった具体的なニーズをお持ちの方がいらっしゃっいましたら、可能な限りご協力できる形でクエスト化したいと考えております。(すでにとある電子書籍化予定タイトルや教材のゲーム化など、いくつか大ボス級のお題をいただいており、クエストとして仕立てているところです。)
ご興味ある方は、tfuji (at) anotherway.jp まで気軽にお問い合わせください。
以上、近況とお知らせでした。
March 17, 2012
CIEC北海道支部にて講演(3月30日)
ここ3週ほど京都〜福岡〜高松と、週末の発表や講演が続いてましたが、今週は一息ついて家事を片付けたりしてます。
来週24日は、先週お知らせしたBEATセミナーの開催が控えてます。翌週の30日はCIECの北海道支部の研究会にお招きいただいて下記のセッションを行います。
今回が人生初めての北海道訪問なので、楽しみにしています。お近くの皆さまどうぞお越しください。
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CIEC 北海道支部 第5回研究会のご案内
「学校はゲームから何を学べるか」
■テーマ: 学校はゲームから何を学べるか
■日 時: 2012年3月30日(金) 15:00-16:30
■会 場: 北海道クリスチャンセンター
札幌市北7条西6丁目
http://www.h3.dion.ne.jp/~hcc/
◆プログラム
14:30 受付開始
15:00-16:00
[講演]
学校はゲームから何を学べるか
東京大学大学院情報学環特任助教 藤本 徹 氏
(概要)近年のゲームへの社会的な関心の高まりは教育分野にも広がっており、
ゲームを取り入れたさまざまな教育関連製品やサービスが生まれています。これ
までにも教育現場でのゲーム利用は取り組まれてきましたが、現在起きている現
象は以前と何が異なるのでしょうか。国内外の事例を通して、ゲームと学びの関
係を整理しながら、ゲーム有害論とは異なる視座からゲームについて考えるため
の話題を提供します。
16:00-16:30 参加者全員で意見交換
◆参加費:CIEC 会員は無料 (当日会場での入会申し込みにも適用されます)、
その他の方は500円 (どなたでもご参加いただけます)
◆お申込:CIEC 事務局
e-mail : sanka@ciec.or.jp TEL/FAX : 03-5307-1195 / 03-5307-1180
February 11, 2012
東京大学BEATセミナー開催のお知らせ(3月24日)
今度所属先の東京大学BEATで、毎度恒例のBEATセミナーを開催します。
今年度の活動成果報告の一つとして、藤本担当プロジェクトで開発中のゲーム型数学学習Facebookアプリもご紹介します。ぜひお越しください。
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2011年度第4回BEAT公開研究会「ソーシャルラーニングとこれからの人財育成」開催
BEAT(東京大学情報学環ベネッセ先端教育技術学講座)では、2011年度第4回 BEAT Seminar「ソーシャルラーニングとこれからの人財育成」を3月24日(土曜日)に開催致します。
近年のソーシャルメディアの急速な普及により、人々の関わり方やつながり方に大きな変化が見られるとともに、コラボレーションや学習の形態も様変わりしつつあります。ソーシャルメディアがもたらす新たな学び「ソーシャルラーニング」が、これからの人財育成のあり方にどのような影響を与えるかが問われています。
今回のBEATセミナーでは、まず、BEAT で今年度実施したSoclaプロジェクトの活動成果をご報告します。高校生を対象にFacebook上で実施したプロジェクト学習プログラムと、小論文、数学をテーマとした基礎学習の研究プロジェクトの報告を行います。次に、これまで数々の社会人教育プログラムの設立に取り組まれ、政府審議会等で次世代人財育成のあり方を提言してこられた妹尾堅一郎氏(産学連携推進機構 理事長、コンピュータ利用教育学会 会長、一橋大学大学院MBA客員教授)に人財育成に求められるイノベーションと教育機関のあり方についてご講演いただき、これからの人財育成におけるソーシャルメディアを利用した学習環境デザインの可能性や課題を議論します。
みなさまのご参加をお待ちしております。
日時:2012年3月24日(土)13:00〜17:30
場所:東京大学 本郷キャンパス 情報学環・福武ホール(赤門横)
福武ラーニングシアター(B2F)
内容:
13:00-13:15
1. 趣旨説明 山内祐平(東京大学 准教授)
13:15-14:20
2. 2011年度BEAT成果報告
報告1:Socla 数学学習 藤本徹(東京大学 特任助教)
報告2:Socla 小論文学習 高橋薫(東京大学 特任助教)
報告3:Soclaプロジェクト学習 山内祐平(東京大学 准教授)
今年度成果の総括と来年度に向けて 山内祐平(東京大学 准教授)
14:30-15:30
3. 講演「先端人財育成モデルのイノベーション
〜工業モデルの熟達者訓練、農業モデルのイノベーター育成〜」
妹尾堅一郎(産学連携推進機構 理事長、コンピュータ利用教育学会 会長、
一橋大学大学院MBA 客員教授)
15:40-16:00
4. 参加者によるグループディスカッション
16:00-17:30
5. パネルディスカッション「ソーシャルラーニングとこれからの人財育成」
パネリスト:
妹尾堅一郎、山内祐平、未定(外部より招聘)
司会:
藤本徹、高橋薫
定員:180 名
参加費:無料
懇親会:セミナー終了後 1F UT Cafe にて参加希望者(3,000円)
参加お申し込みは下記をご参照ください。
http://www.beatiii.jp/seminar/index.html
January 25, 2012
本日のゲーミフィケーションUstイベントのお知らせなど
ぼやぼやしていたら当日になってしまいましたが、本日1月25日19時より「ゲーミフィケーションパーティナイ」(ナイで止めてるのはワザとだそうですが)というUstイベントに出演します。
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ゲーミフィケーションに関わる本の著者が一同に会す夜
ゲーミフィケーション・パーティナイ(Gamification Party Night)
http://www.s-dogs.jp/dgame/Event/radio01.html
主宰:Gamification Party Night実行委員会
日時:1月25日(水) 19:00〜21:30
放送内容:
19:00〜 オープニング・トーク
19:30〜 プレゼンテーション「ゲーミフィケーションとは何か?」(井上明人)
20:00〜 ディスカッション「ゲーミフィケーションを語りつくす!!」(藤本徹/井上明人/松井悠)
20:45〜 ディベート「ゲスト vs Ustream視聴者」
21:20〜 クロージング・トーク
ハッシュタグ:
#ゲーミフィケーション
Ustream中継:
http://p.tl/OcHT
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なお、時を同じくして、明日のクローズアップ現代でゲーミフィケーションが取り上げられるそうです。メディア批評家の濱野智史さんがコメンテーターとして出演されるそうです。
NHK「クローズアップ現代」(19時30分〜19時56分):ゲームが未来を救う!?〜広がるゲーミフィケーション〜
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/yotei/index.cgi
なお、濱野さんは先日朝日新聞で拙訳書の「幸せな未来は「ゲーム」が創る」の書評を書いていただいて、マクゴニガルの提示しているゲームを用いた社会変革のアプローチの意味をとても的確に論じていただいてます。出演後そのままこちらのUstの方に駆けつけてくれるそうなので楽しみです。
先週のNHK「爆問学問」のシリアスゲームの回もありましたし、ゲーミフィケーションが業界向けだけでなく、一般メディアで取り上げられることが増えてきました。そんな中で「ゲーミフィケーション」という直球タイトルの著作を上梓される井上明人さんが語り、クローズアップ現代の放送も話題にしつつ、ゲーミフィケーションのあり方を語ろうというイベントに呼んでいただいたので、井上さんの応援ついでに参加してきます。
・・・と、そんなわけで、先週よりイベントの告知を始めていただいているのですが、思わぬ方からコメントをいただきました。
きょうの蜘蛛の糸メソッド(やまもといちろうBLOG)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/01/post-dca5.html
山本一郎さんのブログの長年のファンとして、拙著を誉めていただいたのはとても嬉しい限りなのですが、芥川の「蜘蛛の糸」の話になぞらえて苦言を呈されたところは、せっかく気に留めていただいたのにそういう印象を持たれてしまったのが残念でありました。
このタイミングでこのイベントを入れるのは、井上さんの新著の出版プロモという位置づけ的には、やらない方が失策でしょうし、商業ベースに乗る際には多少売り文句的に出過ぎるところは避けられないでしょう。なので、今回は気になるところはあれ、こちらからの告知内容への注文は最低限にしました。でも、今回のような形で商業ベースに近いところでなんとなく露出すると、誤解を受けたくない人にまで誤解を招くんだなということを痛感します。
なので大多数の人々にはどうでもよいことですが、おそらくこういうことを言及する機会もあまりないと思うので、ここでひっそり自分の立ち位置を説明しておきたいと思います。
まず、そもそもなぜ僕がこういう場に駆り出されて話をするかというと、10年ほど前から米国を起点に広まった「シリアスゲーム」というゲーム産業を取り巻く新たな流れを日本に伝え、日本での状況を海外に伝えるという、つなぎ的な役回りをしばらく続けてきたことが、それなりに評価されているのだろうという理解をしています。
拙著「シリアスゲーム」で、シリアスゲームという呼び方は過渡的なものであり、シリアスゲームの考え方や事例が普及すれば、わざわざシリアスゲームと呼ぶ必要はなくなるだろう、と述べました。その考えは今も変わっていなくて、シリアスゲームという呼び方自体が普及するかどうかは、基本的にはどうでもいいことで、ゲーミフィケーションの流れの中でシリアスゲーム的な「社会のためのゲーム」が息づいていくのであれば、それはそれでよいと思っています。
海外で動いているシリアスゲームの流れと国内の状況はだいぶ異なるわけですが、ゲーミフィケーションがうまく流れに乗って広がってきたことで、ようやくここから新たな展開が見られそうだという期待が持てるようになってきました。
セカンドライフブームの時は、何やら儲かりそうだとツバだけつけに来た人たちや、儲けたい人たちからうまく儲けようとする人たちですっかり埋め尽くされてしまい、実のある議論ができる人がいないうちに萎んでいってしまった感がありましたが、今回のゲーミフィケーションは語っている人たちの様子を見るとだいぶ印象が違います。
ゲーミフィケーションがこれだけ注目を集めるようになると、あちこちでいろんな人がゲーミフィケーションについて語るようになります。僕も立場上、ゲーミフィケーションのあり方について論じてきましたが、シリアスゲームよりもゲーミフィケーションの方が概念的には広いので、教育研究者の立場では上手く語れない、語る興味のない領域もあります。深田さんが書かれた「ソーシャルゲームはなぜハマるのか」のようにマーケター向けのゲーミフィケーションの話は僕が書けるものでもないですし、書くべきものでもないと思います。国内でゲーミフィケーションがここまで注目されるに至ったのは、深田さんの功績によるところも大きいと思います。それに、ゲーミフィケーションを新しい社会システム構築の方法論というような位置づけで語るとすれば、鈴木謙介さんや濱野智史さんのような社会学系の論者の方たちに語ってもらう方が格段によい議論ができると思います。
そして今回は、国内には数少ない生粋のゲーム研究者である井上明人さんが正面から「ゲーミフィケーション」を論じる著作を出して、学の立場でこの分野の専門家として前に踏み出すことになったわけで、とても喜ばしいことです。
これからさらにこの分野でやっていこうという人が増えていけばと思いますが、僕自身は引き続き、ゲームの教育利用研究や社会的応用研究の領域からシリアスゲームの研究を続けていくつもりです。今までこの分野に本気で入ってくる研究者の層が超薄だったために、専門外の分野のことまでコメントを求められたり、わけのわからない依頼とかもまわってくることが多かったのですが、優秀な若手の人たちがそういうことを引き受けてうまくやってくれて、僕は自分の研究に集中できて、結果としてこの分野がさらに盛り上がっていけばよいなと願いつつ日々を送っています。
やや取りとめない感じになりましたが、そんなところでしょうか。まあ、蜘蛛の糸にはみんなで仲良く、上手いことやってのぼってください、という感じです。
そんなわけで、どんな風になるかわかりませんが、ご関心のある方はクローズアップ現代とともに、こちらのUstイベントもご覧いただければ幸いです。
January 02, 2012
2012年に向けて
さて、引き続いて2012年の抱負を少し記しておきたいと思います。まず、方向性としては、数年先の何か大きなことに向かう準備をしている段階だという気がしています。お金がないからとか、時間がないからとか、任せる人がいないからとか、今はできない理由のせいにできたとしても、そんな制約がなくなった時に自分は本当に口だけでなくてできる人間なのか、今できなくてもすぐにできると言える気構えがあるか、勝負する時に力になってくれる仲間がどれほどいるか、そういう観点で見ると、自分には足りないところが多すぎる。たとえば、信頼できる人から、予算○億出すから君の構想を形にしてくれ、と言われたとして、OK、すぐやれますよ、と即答できて、実際にきちんと体制を組める研究者でありたいわけで、そのための力量的なベースを今年1年かけて作っていきたいと思います。
具体的な活動としては、抱えているプロジェクトで確実に成果を出すこと。まずはそれに尽きるので、着実に進めたいと思います。Soclaの「ソーシャルメディアを利用した学習環境の研究」は、プロジェクト学習、基礎学習とも今年度の佳境に入っており、これをやりきること。特に基礎学習の方は、ソーシャルメディア×数学×ゲームで進めているアプリ開発が、プロトタイプの段階でどこまで前進できるかが勝負になっていて、これが最優先課題です。この1年で何らかの成果を出せるのは必須としても、後はどこまで質を上げられるかのチャレンジです。
次に力を入れたいのが、昨年着手した「クエスト型授業」の研究です。2月の日本デジタルゲーム学会でこの題材で発表しますし、来年度の工芸大「シリアスゲーム論」では今年度実装できなかった要素や上手くいかなかったところを修正してバージョンアップを図ります。こちらも今年度後半には論文にできる程度の知見を確立したいと思います。
ゲームの教育利用研究については、昨年1本解説論文的なものを書いてこれまでにやったところは総括したので、次はさらに各論のテーマを引き続き掘り下げて、次の論文を形にすることが今年の目標です。このテーマを追求する研究仲間が増えたことが大きく、このすそ野を拡げていきながら、コミュニティの基盤を強化していこうと思います。
ところで、この正月休みは、ちょうど弟の家族が一緒に帰省していたので、3歳の甥っ子とゆっくり接する機会がありました。面白がって母のiPadで遊ばせたり、YouTubeで彼のお気に入りのゴーカイジャーの映像を見せたりして遊んでました。YouTubeにiPadを自在に操る3歳児の映像がいくつも出ていたりして話題になってますが、まさにそんな光景を目にしました。
一緒に海岸を歩いていてカモメを見つけると、カモメの話をしながら「新幹線のカモメはこのカモメかー」と誰も言わなくても自分で気づける知性がすでに備わっているのでした。日々著しく認知的発達が進んでいる様子に、教育に関わるものとして感じ入らずにはいられませんでした。お子さんをお持ちの方々からすればとうに経験済みのことだと思いますが、僕はこの時期の子どもとこれほど接したのは初めてだったので、子どもの教育についてこれまでとは違った観点から多くのことを考えさせられました。
この子たちが大人になる頃には人々を取り巻くメディア環境は随分変化しているだろうし、社会の仕組み自体も今からは想像のつかない形に変わっているかもしれない。そんな未来をこの子たちが生きていくためにに必要な学習機会や学習環境を私たちは提供できているか。できているとは言い難いし、現状追認的な研究や教育を維持しているのでは、いつまでたっても彼らが必要とする教育は提供できない。でもはたして、自分の研究も彼らやその次の世代が必要とする教育に向かっていると言い切れるか。そういうことを考えながら、今よりももっと次世代を見据えて、自分の研究の方向性を定めていきたいと考えました。
初詣で引いたおみくじには「一心に自分の仕事大事とはげみなさい」とあったので、その気持ちでこの一年やってみたいと思います。どこまでいけるか楽しみになってきました。
January 01, 2012
2011年の振り返り
新年明けましておめでとうございます。昨年中もとても多くの方にお世話になりました。心より御礼申し上げます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
毎年年末に振り返り、年明けに指針について書いてきたのですが、今年は今一つ取りとめない感じで、業績整理しながら振り返りつつも書きかけのままに年を越してしまいました。まだ取りとめない感じですが、考えたことをいくつか記しておきたいと思います。
今年の大きな変化は、東京大学に移ってきて研究環境が大いに好転したことでした。国内ではこれ以上望みようのない環境で仕事をさせてもらっているので、これで成果が出せないならどこに行っても出せない、今仕事せずにいつするか、という気持ちで、心のままに思う存分働くことができた充実の一年でした。
その一方で、まだ移行期間の仕事が重なって無理や無駄が生じて上手くいかないところもありました。その辺りは自分の力量の足りなさが結果に表れていて、反省することも多かったです。仕事で出すべき成果のハードルがあがったので、その分仕事の選び方や進め方を相当に工夫しました。これまでの人生、押し並べて及第点レベルでかろうじて乗り切ってきたようなところがあって、球速130キロしか出ないピッチャーが投球術で乗り切るような感じで仕事してきたので、肝心なところでは球威不足で今いちだったり、勝負所でもう一つ踏ん張りが効かない、そういう自分の力量を考えさせられることの多い一年でした。
今までも大したことなかったわけだし、まあ仕方ないよな、と思う反面、今の自分の立ち位置でこのまま仕方ないなとのん気に言ってるペースでやっていては自分の関わる研究分野の停滞につながるので、小手先の工夫では乗り切れない自分の力量的な課題は一つずつクリアしていく必要性を感じています。力量以上のことを自分に期待するときつくなるし、時々気が重くなることもあります。でも、人と違うことをやろうと志す限りは、このつらさは避けられないものと観念することにしました。
他にもいろいろと思うところはありますが、振り返りで書くことはこれくらいにして、この後はこれからのことを考えてみます。
